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2011年12月10日 / misotukuri

「エージェント6」読了-2011年ベスト1か?-

昨夜、レオ・デミドフシリーズの掉尾を飾る「エージェント6」(トム・ロブ・スミス著)、ついに読了した。

おそらく、本年のベスト3候補だろう。

しかし、これを深く味わい楽しむには、先行する「チャイルド44」、「グラーグ57」を順に読まなければならない。

そして、そのどれもが90点以上つけていいほど素晴らしい出来映えの傑作ばかり。

「チャイルド44」と「グラーグ57」については、前にもこのブログで取り上げたので省略するが、題にはみんな数字がついているね。

44は殺された子供の数、57は収容所の番号、そして、6は、最後の方で分かるが、個人を識別する暗号だ。

だが、何故、6なのか、ということについては、書かれていなかったように思う。

簡単な暗号なので、もう一度、じっくり読み返せば分かるかもしれない。

ただ、本の返却期限が1日過ぎていたこともあり、今日、図書館に返してしまったので、それはできなくなった。

また、BOOK-OFFに¥105で出たら、買い込んで推理してみようと思う。

「グラーグ57」でも、シベリアの極寒の強制労働収容所での絶体絶命的状況からの奇跡の生還劇には驚かされたが、今度の「エージェント6」のムジャヒディーン組織に囚われてからの脱出劇には本当に驚いた。

まさか、そういう解決法があるなんて!

だってね、絶体絶命どころか、100%不可能だよ。

いや、レオが大きな賭に出たその方法を言ってるのではなく、それはいかにも無理筋なのだが、それを補強する方法を用意していた作者のアイデアに恐れ入った。

なるほど、考えてみれば、ごく自然な話の展開となるではないか!お見事。

そもそも、これはチェイスものだったことを忘れていた。

チェイスといえば、私も一時期、私立探偵にあこがれたことがあって、プライベートで人捜しをやってみようとしたことがある。

しかし、これはやっぱり組織とか権力とかのコネクションがないと無理だとわかり、直ぐにあきらめた。

小説を読む楽しみは、居ながらにして世界各国を旅して回ったような気分になれることだ。

しかも、こういう一生行くこともないような国の社会の底辺の人々の暮らしや考えていることを紹介してくれるのを読むのは、おそらく、自分の平凡な人生においては全く何の役にも立たないことなのだが、ある意味、教養豊かなとはそういうことかなとも思い、密かに満足できる。

この小説で、アフガニスタンのというより、イスラムのといった方がいいのかもしれないが、女性蔑視の根深さが描かれているが、ここまでものすごいものがあるとは多分ほとんどの日本人は知らないんじゃないかなと思う。

先日の朝日新聞にアフガニスタンの女性の識字率は20%以下であることが紹介されていた。

チラッと見た程度で詳しく読んではいないのだが、日本が国際平和貢献で援助すべきはこういうアフガニスタンの女性の教育にこそであるとかいう論調ではなかったか?

しかし、少なくともこの「エージェント6」を読んだ者なら、そういうお人好しの発想は大変危険だということが直ぐにわかるだろう。

異文化理解というのは、そんな生やさしいものではないのだ。

「ヒューマン・ファクター」のグレアム・グリーン、「寒い国から帰ってきたスパイ」のジョン・ル・カレ、「アヴェンジャー」のフレデリック・フォーサイス、「凶運を語る女-ムルマンスク2017年」のドナルド・ジェイムズ、「ゴーリキー・パーク」のマーティン・クルーズ・スミス、「チャーリー・ヘラーの復讐」のロバート・リテル、「ベルリン・コンスピラシー」のマイケル=バー・ゾウハー・・・私好みの国際政治冒険小説作家の中にトム・ロブ・スミスも仲間入りした。

よく見ると、愛の物語ばっかしだな。

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