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2012年2月3日 / misotukuri

忌中に節分の豆まきは許されるか?

初めに断っておくが、私は祭礼などに関する風俗習慣の類は尊重はするけど、全く信じていない。

だから、そういうものを本当に信じてやっている人のことを馬鹿にしたりしないが、信じてもいないのに形だけ真似事をしたり、何かそれで儲けてやろうとかしている人のことは、「オイオイ、よくやるよなあー」で、いい加減にして欲しいと思うのだ。

「土用の丑の日にはうなぎを食べるもの」というのは、平賀源内が始めたキャッチコピーだとかいう話は、その起源が世間に比較的よく知られているが、何でも似たようなものだ。

「バレンタインデーには女性からチョコレートを送って愛を告白する」なんてのもまた同じだ。

こういう無自覚な消費者根性丸出しの風習というのは、その起源が比較的よく知られており、だからこそ、皆がノリノリでやっていること。

ところが、その起源が古くてはっきりしないものについては、特に祭礼に関係するものなど、勝手にこうだと決めつけたりすると、KY(空気読めない)で、礼を失して、ついには馬鹿にされたりする。

こちらが馬鹿にされるのは一向にかまわんのだが、礼を失するのは、相手を傷つけることになるので、そういうことにならないよう慎重な態度を取るのが立派な大人のすることと心得ている。

風俗習慣の重要性というのは、それを共有する者としない者との間に、隠然たる境界が引かれるということだ。

その境界は、階級階層的に上下に引かれることもあれば、地域地縁的に平面的に引かれることもある。

大都会に住む全くの精神的漂流者である根無し草(デラシネdracin)ならともかくも、どこの世界にもあるそういう境界周辺に入り交じって住む根無し草は、そういう気遣いをしなければ、摩擦が多くて生きていけない。

だから、信じていないが、儀礼的に尊重し、慎重な態度を取るのだ。

長々とした前置きになったが、実は、今日、「忌中に節分の豆まきをしていいものだろうか?」という相談を受けたのだ。

「節分」とは、柳田國男監修「民俗学事典」によれば、「立春の前日をいう。」とあり、「節替りというのは古い名らしく、旧暦では閏年以外は元日から七日正月までの間にこの日の来ることが多かった。このため他の行事と混じて、本来の節分行事が何であったのかはっきりしていない。しかし、現在この日に行われる行事には、主として邪霊災厄を防ぐ呪術的なものが多い。戸口に鰯の頭と柊の枝をさす風は全国的で、・・・・<略>・・・・大豆を炒り、唱えごとをして室内に撒きちらし、鬼を打つ行事は社寺では追儺(*)として行われ、主として都市を中心にひろまったが、各地の伝承では大晦日、煤払いの日、七日正月などにも豆撒き行事がある。必ずしも節分に限らず、新しい季節を迎えるに当たって邪気をはらう一つの方式であったことがわかる。節分にも厄落しをする習わしが広い。」と書かれている。

*追儺(ついな:追儺式=大晦日に行われる鬼払いの宮中行事)・・・私注

この他にも、「節供(セック)、節日(セチビ)」という関連する項もあり、なかなか興味深い。

追儺の起源については、ネットで調べれば幾つも出てくるが、文献学的には、「続日本紀」に文武天皇(天武天皇の第二皇子、草壁皇子の長男、持統天皇の孫)の慶雲三年(706)に宮中で初めて営まれたと書かれているようだ。

これは外来のもので、仏教儀式でも何となく陰陽道っぽいが、陰陽道はまだ年代的に完成していない時期なので、恐らく、道教由来のものではないかな?

そして、ここで言う「鬼」とは、魔物というより、恨みを残して死んだ人間の悪霊のことだろう。

おお、梅原猛の著作をもう一度読めば面白いかも。

「追儺」については、ネットで検索していると、こういうのがあった。

「追儺考」

http://www.geocities.jp/edelfalter/recture/tsuina.htm

目に見えない鬼を追う方相氏の顔が恐ろしくて、いつしか、鬼を追う役目の方相氏が追われる鬼と同一視されるようになったというくだりは面白い。

大衆とはいつの世もそのようなものであり、果たして悪魔から救ってやる値打ちがあるのだろうかと考え込まざるを得ないドラマのネタになる話だ。

さらに、鬼=死者の霊とすると、それは当然、祖霊にもつながることで、そうすると豆を投げつけられ追われる鬼は、おじいちゃんやおばあちゃんかもしれないということで、「かわいそう」という感想も出てくる。

そこから、「福は内、鬼は外」ではなくて、「福は内、鬼も内」とかいう撒き方も生まれたのだろう。

まあ、そんな大昔のことはともかく、現在のこととして言うなら、戦前、戦中、戦後しばらくまで生きていた農家の節分の風習としてどうかということを考えるべきだろう。

というのも、「忌中に節分の豆撒きをして良いか?」などという質問は、そもそもそういう年代の人に判断して貰うべきことだからだ。

要するに、今の農家のお年寄りにと言うことだが。

忌中というのは、仏教で49日内、神道で50日内とされているようだ。

豆撒きの豆を神棚でお祭りしてから撒くというのが風習の人なら、少なくとも、忌中には豆撒きは避けるだろう。

北北西に巻きずしを向けて黙ってもぐもぐ食べる「恵方巻き」の風習は農家の節分にはない。

ただし、私は豆撒きはしないが豆は食べるし、巻きずしも方角など関係なしに食べる。

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