井岡VS八重樫の統一戦は愚の骨頂
世界ボクシング評議会(WBC)ミニマム級王者の井岡一翔(かずと、23)と世界ボクシング協会(WBA)同級王者の八重樫東(あきら、29)の対戦が決まった。
日本人同士による初めての世界王座の統一戦ということになる。
試合は、6月20日に大阪市のボディメーカーコロシアム(大阪府立体育会館)で行われる。
井岡は3度目、八重樫は初の防衛をかけた戦いとなり、WBCのルールを採用するそうだ。
はっきり言って、これは愚の骨頂だな。
井岡は、2回防衛しており、本来ならこれからわが世の春なのだが、ウエイトがきつく、チャンスがあれば、直ぐにでも上のライト・フライ級あるいはフライ級に上がりたい。
一方、八重樫は井岡のように体重苦はないものの、まだ初防衛もしていないので、統一戦をやりたいと言えるほどの実績を積んでいない。
ケースとしては、① 井岡の勝ち、② 八重樫の勝ち、③ 引き分けの三通りだが、③の引き分けなら両者タイトル防衛だが、①、②どちらが勝っても、統一したと言っても、一瞬のことだ。
一人が、2団体のタイトル防衛戦をするなんてことは、事実上困難。
必ず、どちらか一方を返上することになる。
あるいは、直ぐにシルバー王座又は暫定王座が設けられ、統一王者の権威は地に落ちる。
シルバー王座とか暫定王座なんてわけのわからないものがあるのは、ようするに、地域ごとに世界王者が欲しいからだ。
特に、ヨーロッパ、アジアに世界チャンピオンを取られたら、北米や中南米ではボクシング・ビジネスがショボくなる。
まあ、ミニマム級は一番軽いクラスだから、中南米でスター選手が出てこないと、アジアで勝手にやってろって感じはしないでもない。
WBAのミニマム級には、八重樫がポーンサワンからタイトルを奪った2週間後、早くも暫定チャンピオンが誕生している。
パイパローブ・ゴーキャットジム(タイ:Paipharob Kokietgym)VSヘスス・シルベストレ(メキシコ:Jesus Silvestre)で行われ、思惑が外れ、パイパローブが暫定王座についている。
八重樫・ポーンサワンの感動を呼んだ激闘の後だけに、何これ?と思うが、共に戦績は素晴らしい。
特に、暫定チャンピオンになったパイパローブは、19戦19勝(16KO)無敗だ。
ヘスス・シルベストレも、26戦23勝(17KO)3敗で、両者共に高いKO率を誇っている。
八重樫は、井岡なんかと不毛な戦いをする前に、パイパローブとWBAでの王座統一戦を行うべきだ。
井岡が勝っても、多分、一度も統一王座を防衛することなく、返上して上の階級の王座に挑戦することになるだろうから、パイパローブはWBAの正規王者に格上げされるだろう。
そして、中南米で暫定王者が誕生するだろう。
八重樫が勝っても、パイパローブという暫定王者がいる限り、統一世界王者とはいいかねる。
いずれにしても、日本から世界王者が一人減るだけ。
ファンが望むからと言うけど、切符を買って見に来てくれるファンがどれくらいいるかだ。
中南米のボクシング・ビジネス界を喜ばしてやるだけと思うがね。
ノン・タイトルでやると言ったら、怒るだろうな、WBAもWBCも。