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2012年8月7日 / misotukuri

「サイレント・ジョー」読了

手術後の経過は順調で、一路回復に向かっているが、まだ家の中でもサングラスをしている。

夜空の月を見上げてもまぶしくて眼球が痛むというのはさすがに無くなったが、明るいところへ出ると思わず両手で両目を覆い隠してしまう。

「暗くなるまで待て」(トニー・ケンリック著)という両眼が暗視眼鏡をつけたみたいに昼夜逆転してしまった男の抱腹絶倒の傑作ミステリを思い出した。

昨日は、あと30ページほど残して、そのままになっていた、「サイレント・ジョー(物静かなジョー)」(T・ジェファーソン・パーカー著、2002年MWA長編賞受賞作)を読み上げた。

手術後、一時的に乱視がひどくなったようで、細かい字はそのままでは見にくいので、虫眼鏡で文字を追いながら読んだ。

しかし、小説を一行ずつ読むというのはなかなか疲れるものだね。

電子ブックなんか、あんなの良く読めるもんだなと感心する。

最低、iPadぐらいの大きな画面でないと、私には無理だ。

ま、それはともかく、この「サイレント・ジョー」は、割と正統的なハードボイルドのように思える。

恩人であり、愛する義父を目の前で何者かに撃ち殺され、犯人を捜査して行く内に、いやおうなく、自分の過去と向き合うことになるジョー。

ジョーの顔半分は、赤ん坊の頃に父親から硫酸を振りかけられて焼けただれている。

そして、もう片方は完璧なまでのハンサム。

もちろん、これは二面性の象徴だ。

美と醜、善と悪、表と裏、真実と欺瞞、愛と憎しみ、強さと弱さ、優しさと冷酷さ、金持ちと貧乏人、そして、現在と過去・・・

なかなか良くできている。

日本人にはここまでサイレントに書けない小説だ。

高速道路無料のアメリカにも有料高速道路はあり、その有料高速道路の建設の実態もきちんと描かれている。

この小説、10年前には読めていたはずなので、市場化テストや高速道路無料化の議論の時に間に合ったはずだが、誰も取り上げなかったね。

インテリは誰も読んでいなかったか、読んでいても何も気がつかなかったか。

あるいは、無視したか。そうなると、犯罪的無視だな。

この小説、噛めば噛むほど味が出るなかなか良いミステリだった。(85点)

MWA賞受賞作漁りもそろそろくたびれてきたが、次は、09年の「ブルー・ヘヴン」(J・C・ボックス)かな?

 

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