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2012年9月17日 / misotukuri

「ゴーストライター」ー映画は小説を超えたか?

先日、映画「ゴーストライター」(10年、仏、独、英、ロマン・ポランスキ監督、ユアン・マクレガー、ピアーズ・ブロスナン、オリヴィア・ウィリアムズ他、ロバート・ハリス原作)を見た。

元首相アダム・ラングの自伝の執筆依頼を受けたゴーストライターが巨大な政治的陰謀に巻き込まれる話なのだが、この映画、陰謀物の娯楽作品としては傑作だと思う。

さすが、ロマン・ポランスキだと思った。

この映画の中に出てくる、四人のイスラム系英国人をテロリストの容疑でCIAに引き渡した事件とか、映画での元英国首相アダム・ラング=トニー・ブレア+ジョン・メージャーで、ヘザートン=ハリバートンだとかには気がついた。

英国人なら、おそらく、誰もがハハーンとくる実話に基づくフィクションなのだろう。

テロリストと間違われた四人のイスラム系英国人の話は、私も映画「グアンタナモ僕たちが見た真実」(06年マイケル・ウィンター・ボトム監督)と実際にその四人を最も初期の段階で尋問した実録「陸軍尋問官-テロリストとの心理戦争」(クリス・マッケイ著・・・もちろん仮名)で知っていた。

これは、他にもいろいろありそうだから、原作の小説「ゴーストライター」(ロバート・ハリス著)の方もぜひ読んでみなくちゃと思った。

そして、今日、その小説の方を読み終えたところだ。

残念ながら、私の知っている話はあまりなかった。

ピーター・ライトの「スパイ・キャッチャー」に出てくる話が一つ見つけられた程度で、英国人でもない私ではやむを得ないことか。

それより原作の小説を読みながら気になったのは、ロマン・ポランスキが忠実に原作のストーリーをなぞっていることだ。

ロマン・ポランスキと言えば、私は「水の中のナイフ」からの大ファンで、今や映画界の数少ない巨匠の一人と思っていた。

ところが、原作を読み進む内、ポランスキの映画的飛躍のなさ加減にだんだん失望するようになった。

ロマン・ポランスキって、それほど大した監督じゃないね。

この映画だって、脚本の元の原作がしっかりしているから傑作に見えるだけで、原作を超えているようなところはひとつもない。

細かい相違点をいちいち上げるのはよすが、ようするに映像表現するために詳細を省いて単純化しているだけ。

せめて、結末くらいは違っているんだろうな、と思いながら読み進んだ。

だが、・・・いや、これ以上、言うのはよそう。

映画の結末はショックで良くできていたと思うが、原作を読めば、やはり、単に時間を短縮しただけで、小説の方が余韻が残る。

映画の結末は、小説の結末の可能性の一つに過ぎないという意味で、小説を超えていない。

私は、小説の方が好きだな。

「第三の男」(キャロル・リード監督、グレアム・グリーン原作)の結末は、映画の方が遙かに優れているが。

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