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2012年12月21日 / misotukuri

「骨」読了ーさすがMWA賞受賞作だが

紅葉のシーズンだったり、病院通いとか色々あったので、読書ペースが落ちていた「骨」(ジャン・バーク著)もようやく読了することができた。

「骨(BONES)」は、2000年のアメリカ探偵作家クラブ最優秀長編賞(エドガー賞)受賞作だ。

今年は、主に未読のこのエドガー賞受賞作を読んできたが、今年読んだミステリの中ではベスト5くらいには入るだろう。

やっぱり、名犬ラッシーやリンチンチンではないが、犬が出てくるとそれだけで面白い。

「骨」に出てくるのは、ビングルという名の死体捜索犬で、子犬の時からの元の飼い主がスペイン語を喋っていたのでスペイン語で命令しないと通じない。

昔、ネットで歌を歌う犬の動画を見たことがあるが、この犬もハンドラーの楽器の演奏に合わせて歌を歌う。

猟奇連続殺人鬼の手引きで死体を埋めたという人里離れた現場へ向かった警官、法廷人類学者、捜索犬、女性新聞記者、弁護士たちだったが、殺人鬼はそこで恐るべき罠を仕掛けていた。

こんなことはアメリカのように国土の広い国で、銃規制の緩やかな国なら可能だが、日本みたいな狭くて銃規制が厳しい国では起こり得ないと思う。

とは思うが、警察官ならこういう小説も一応読んでおかないと、いつの日か殺人鬼の仕掛けたとんでもない罠に引っかかって命を落とすハメにならないとも限らない。

全国の警察官諸君、日夜お忙しいだろうが、非番の時、こういう本も読んでほしいね。

このミステリ、犯人は最初からわかっているが、どうやら謎の協力者がいるらしいということで、フーダニットのターゲットは、その謎の協力者は誰かということなのだが、これはまあ、意外性に富んでいたね。

殺人鬼との最後の対決のシーンの中で、その謎の協力者が誰だったかわかる瞬間があり、やがて彼らを追い詰める過程で、彼らに共通する幼児体験のトラウマが明らかにされる。

このあたり、さすがMWA賞受賞作の出来栄えだが、ちょっと明快すぎる気がしないでもない。

もっとこういう異常犯罪者の嗜虐心理には、どうにも説明のつかないようなものがあると思うのだ。

日本でも迷宮入り猟奇殺人事件があるが、どうなってるんだろうね。

世田谷一家殺人事件、栃木小1女児誘拐殺害事件、島根女子大生死体遺棄事件・・・etc

殺った手口を考えると、加害者の幼児体験によるトラウマがどうだろうと、さっさととっ捕まえて死刑にするしかないね。

刑法で言う死刑は、普通の人間が普通の理由で他人を殺した時でないと適用できないことになっているので、普通でない人間が普通でない理由で他人をいくら殺しても死刑にするのは難しい。

ところが、危険なのは、どちらかと言えば、もちろん、普通でない人間の方だ。

だが、どういう人間が普通で、どういう人間が普通でないかなどという線引は難しく、それこそ差別につながることだ。

では、どうすればいいのか?

こういう倫理ジレンマを解決するには、一時的に心神喪失状態にあったとか、例外的な場合を除き、とにかく、人を殺したら応報刑で死刑にすればいいのだ。

誤審が恐けりゃ、仮釈放なしの懲役50年にすればいい。

以下は、映画「天国と地獄」(黒澤明監督)のラストの有名な会話。

竹内 それに幸福な人を不幸にするのは、不幸な人間にとっちゃなかなか面白いことなんですよ
権藤 君は、そんなに不幸だったのかね

この死刑囚竹内は誘拐では殺していないが、麻薬中毒患者の手下二人を口封じのために殺したので死刑になる。

ラスコーリニコフを気取った倫理観の欠如ぶりが裁判官の心証を悪くしたのだろう。

普通の人間が普通に行った犯罪で強がりを言ったばかりに死刑にされるのだ。

それはそれで仕方がないとは思うけどね。

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