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2013年3月10日 / misotukuri

取り消すためには有効でなければならない

無効な行為は取り消し得るか?

無効な行為は最初から無効であるから取り消すまでもないのであって、取り消すためにはそれが有効に成立している必要がある。

・・・と、大昔、習った記憶がある。

「違法に行われた日韓併合は無効であるので日本政府はこれを取り消せ」

「違憲な一票の格差を放置したままの選挙は無効であるから選挙管理委員会はこれを取り消せ」

「違法な差し押さえは無効であるので徴税当局はこれを取り消せ」

まあ、複数の行為を一つの行為であるかのように単純化してあるが、こういう話を聞くたびに、言語による論理の限界を感じてしまう。

たいていは、こういう場合の「取り消し」とは、手続き上有効になされた行為の「無効の確認」的意味での「取り消し」であるとかなんとかで誤魔化されてしまう。

私も一度ある怖い人に似たようなことを言われて、あることをそもそも「なかったこと」にしたことがあるが、その時にあろうことかまだその上に「一筆、詫び状を書け」とすごまれたことがある。

さすがに、これは絶対譲れないと思ったので、「詫び状を書いたら、『なかったこと』が『あったこと』になるから、それはできません」と断った。

普通はできないことなのに、それを最初から「なかった」ことに苦労してしたのだから、今更「なかったこと」をして済みませんでした、ごめんなさい、なんて書いたりしたら、「なかったこと」が、本当は「あったこと」になるじゃないか、というわけだ。

まあ、目的を達した以上、「なかったこと」にするのは、違法ではないが、普通は出来ないことをして「なかったこと」にしたのを認めるのは、違法とまでは行かないものの過剰な回復行為だった。

あんたも証拠を消したいんなら、オレの方の証拠も消してくれなきゃ、完全でないだろう。

お互いに「なかったこと」にしようというのだから。

法律上のことと事実上のことを混同しているとわけがわからなくなる。

ボクシングでも、無効試合というのがある。

試合後、薬物検査で勝者に違法な薬物の陽性反応が出て、無効試合とされたり、タイトルや金メダルを剥奪されたりする。

ボクサーの戦績に、○勝○敗○引き分け○無効試合と記載されているが、総試合数の中には、無効試合も含まれている。

勝敗をつける上では参入されない効力のない試合でも、それがあったという事実そのものは消しようがない。

試合としての無効を確認するだけだ。

だが、無効を確認するにしても確認する主体と確認する対象の問題がある。

婚姻(対象)の無効を確認するのに、嫡出子(主体)ができるのか?と言うことだ。

そりゃ、出来ることは出来るだろう。

法的に無効だとするだけだから。

それが本当に事実として無効というわけではないから。

まるで父殺しのタイムパラドクスみたいだな。

あなたがタイムマシンで過去に立ち返って、母と出会う前の父を殺すとどうなるか?

殺した途端、あなたは生まれないことになり、タイムマシンで過去に立ち返ることも出来なくなり、その結果、母は無事父と出会い、あなたは無事生まれてくるが、すると、またタイムマシンに乗って過去に立ち返り、母と出会う前の父を殺すと・・・・・・・・・無限ループだ。

法的効果としての無効と事実としての無効を混同すると、このようなパラドクスに悩むことになる。

だから、この場合、無効ではなく、取り消し得べき行為として、取り消されるまでは有効と考える必要があるが、それにしても取り消し権限がある者によって取り消される必要がある。

取消権者は、その行為をした者か、その者の権限の継承者と言うことになる。

取り消しの効果は取り消した時以降に及ぶとするのが普通だろう。

それをさかのぼるとややこしいことになるが、ややこしくならなければその範囲でさかのぼることも可能だろう。

日韓併合は、両国政府が併合を取り消しを宣言すればいいし、一票の格差是正は選挙結果の無効ではなく、区割りを取り消して是正した区割りにすればいいし、違法な差し押さえは、単に解除すればいい。

無効などという変なことを持ち出すから、おかしくなるのだ。

 

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