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2013年7月20日 / misotukuri

「喪失」読了-ミステリ傑作の条件

「喪失」(モーー・ヘイダー著)読了した。

2012年度MWA長編賞(エドガー賞)受賞作である。

最近の警官小説の傑作だと思う。

もちろん、主役がイマイチさえないとか、ものすごく賢い犯人が犯したたった一つのミスの扱いが小さいとか、終盤の駆け足の終息がやや不自然とかいう欠点はある。

しかし、とにかく、事件の真相が見えてくるまでの展開の意外性が素晴らしい。

意外な展開、これこそがミステリの傑作の条件だ。

そして、次々に明らかになってくる犯行の異常性故に、どんでん返しされていく、事件の見かけ。

いったい犯人の真の狙いは何なのか?

誘拐された少女たちの運命は?

これに挑むキャフェリー警部を隊長とする重大犯罪捜査隊の面々。

英国には、潜水捜索隊というのがあるんだね。

その隊長である巡査部長のフリー・マーリー(女性)が魅力的だ。

直感的に行動する性格で、フリー(ノミ)というあだ名のとおり、跳ねっ返りで、こうと思ったら単独行動も辞さない。

不祥事の後、汚名挽回にと張り切って、誘拐された少女の遺体が隠された場所を探して別行動し、事件の真相に別角度から近づいていく。

キャフェリー警部は密かにフリーのことを想っているのだが、一方では、過去の未解決事件でフリーが殺人を犯し、死体を隠匿したのではないかという確信に近い疑念を持っている。

しかも、その証拠隠滅にフリーに知られることなく積極的に自分も荷担していることへの負い目があるという複雑な関係。

女性の社会参画が進むと、必然的に男女は手近なところで求め合うようになり、職場恋愛、職場結婚というのが増える。

警察もまたしかりで、特に女性警官の場合、一般的に仕事の困難性について配偶者の理解を得るのがなかなか難しいことから、自分と同じ警察官を配偶者に選ぶ傾向がある。

それでも、仕事の特殊性からすれ違いは避けられず離婚に至る例が多い。

これはまた男性の場合も同じで、昔、迷宮入り事件捜査TVドラマ「コールド・ケース」の中で、ある刑事がふと漏らす感慨で、「僕たちってこんな仕事をしていたら結婚って無理かも」とかいうのを聞いたことがある。

可哀想!

外国の刑事ドラマでは、何度か結婚、離婚を繰り返し、結局、独り暮らしというのが多い。

日本では、まだそこまで行かず、結婚の歩留まりが良い方だろう。

しかし、本質的に状況は同じで、職場恋愛、職場不倫というのもやむを得ないほど多いのではないか?

キャフェリーとフリーの関係がどう発展していくのかはわからないが、互いに思いは伝わっても難しいだろうね。

ああ、そうそう、それと、マーリーというくたびれたコリーの老雌犬が出てくるが、キャフェリーとの掛け合いが面白い。

愛犬家にはグッとくるかも。

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