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2013年8月21日 / misotukuri

’00年代MWA長編賞(エドガー賞)受賞作ベスト3

 ついに’00年代MWA長編賞(エドガー賞)受賞作全作品読破したので、ベスト3を選んでみた。
 2000年~2009年までの受賞作のリストは次のとおり。
 2000年 「骨」 (ジャン・バーク)
 2001年 「ボトムズ」 (ジョー・R・ランズデール)
 2002年 「サイレント・ジョー」 (L・ジェファーソン・パーカー)
 2003年 「冬そして夜」 (S・J・ローザン)
 2004年 「甦る男」 (イアン・ランキン)
 2005年 「カリフォルニア・ガール」 (L・ジェファーソン・パーカー)
 2006年 「市民ヴィンス」 (ジェス・ウォルター)
 2007年 「イスタンブールの群狼」 (ジェイソン・グッドウィン)
 2008年 「川は静かに流れ」 (ジョン・ハート)
 2009年 「ブルー・ヘヴン」 C・J・ボックス
 去年、エドガー賞受賞作を出来るだけ読もう、それも10年ずつ遡って、と思った時、’00年代受賞作で読んでいたのは、01「ボトムズ」と08「川は静かに流れ」だけだった。
 MWA賞受賞作といっても、日本のいろいろなベスト10ものでベスト3にも入っていない作品も多々あり、こうして10年分ズラーッと並べてみても、どうしてこんな作品が?と思えるようなものもある。
 それに、どういう選考基準でこれらの作品が年間ベスト1に選ばれたのかもよく知らない。
 一応の基準があるはずだが、私もベスト3を選ぶ以上、まず選考基準を明確にしておこうと思う。

 <選考基準>・・・次のA,B,C,Dについて、各5点法で採点し、合計する。20点満点
 A ストーリーの展開に意外性があること
 B 主要キャラクターが魅力的であること
 C 納得できる結末であること
 D 描写、謎、テーマ、その他+α

 00 「骨」 4+4+3+3=14
 01 「ボトムズ」 3+4+4+5=16
 02 「サイレント・ジョー」 4+4+5+5+=18
 03 「冬そして夜」 3+4+4+5=16
 04 「甦る男」 3+3+3+3=12
 05 「カリフォルニア・ガール」 3+3+3+3=12
 06 「市民ヴィンス」 5+5+5+5=20
 07 「イスタンブールの群狼」 4+5+3+5=17
 08 「川は静かに流れ」 3+3+3+3=12
 09 「ブルー・ヘヴン」 3+3+3+2=11

 以上、採点の結果、ベスト3は、次のとおりになった。
 1位 06「市民ヴィンス」5+5+5+5=20
 2位 02「サイレント・ジョー」4+4+5+5+=18
 3位 07「イスタンブールの群狼」4+5+3+5=17
 
 1以外は、自分でも、意外な結果だ。
 「ボトムズ」とか「冬そして夜」などが2,3位にくるかなと思ったのに。
 「ボトムズ」は読んだ最初の感動は一番大きかったように思うが、ミステリとしてはどうかな?
 マキャモンの二番煎じみたいなところもあるし。
 「冬そして夜」は、フットボールが象徴するものに気がつけば、がらりと見方が変わる作品と思う。
 3位の「イスタンブールの群狼」は、オスマン=トルコ帝国時代の歴史ミステリで、白人宦官の名探偵ヤシムが主人公の話。
 日本では全然受けなかったように思うが、地獄絵図を思わせるなめし革工場でのアクションシーンなどもの凄い迫力だし、宦官やハレム、そしてサルタンの実態、さらには恐怖の殺戮部隊イェニチェリや帝都イスタンブールの哀しい流血の歴史を学ぶだけでも読書の値打ちがある。
 やっぱり、地味だけど、3位は当然かな?
 2位の「サイレント・ジョー」は、設定があざとい。
 主人公ジョーは、顔の右半分は幼い頃実の父親に硫酸をかけられて焼かれ二目と見られない醜貌、左半分は完璧なまでの美貌を持つという男で、地方都市の獄吏をしながら町の実力者である義父の用心棒をしている。
 これだけで、陰陽、闇と光、悪と正義というグノーシス的な二元論の世界の話だなとわかる。
 派手なガン・アクションや殺人のフーダニットの解明のバックグラウンドでは、そういう哲学的な話が進行している。
 だから、あざといなと思った。
 しかし、こういう採点基準で考えると、2位に来る。
 最後に1位だが、「市民ヴィンス」になった。
 これは文句ないだろう。
 中西部の大きすぎず小さすぎない地方都市でしがないドーナツ店の店長をしているヴィンスには、もう一つ別の顔があった。
 彼はそもそもニューヨークでクレジット・カード専門の詐欺を働く小悪党だったが、ある事件で証人保護プログラムの適用を受け、恋人や友人とも別れ、誰も知らない都市で新しい人生を送っていたのだ。
 だが、最近、何かが変で、いつもと少し、微妙に違っているのだ。
 そして、それは彼の場合、危険を知らせるシグナルだった。
 これは、あらゆる面でフルマークのまさに10年に一度の大傑作だ。
 MWA賞馬鹿に出来ない。
 では。

 

 

No.

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