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2013年9月16日 / misotukuri

映画「英国王のスピーチ」と「ブラックブック」の歴史ドラマだ度

 今日は、映画「英国王のスピーチ」(10年、英、トム・フーパー監督、コリン・ファース、ジェフリー・ラッシュ)と、「ブラックブック」(08年、オランダ、ドイツ、イギリス・ベルギー、ポール・ヴァンホーヴェン監督、カリス・ファン・ハウテン、セバスチャン・コッホ、トム・ホフマン)と2本立てで見た。
 順を追って、まずは、「英国王のスピーチ」だ。
 吃音症の人間にとって、瓢箪から駒で王になって、ことあるごとに演説しなければならなるというのは、恐らく最悪の悪夢だろう。
 今の英国のエリザベス女王の父、ジョージ6世(ヨーク公アルバート王子)がまさにそうだった。
 この映画は、吃音症を治そうと努力したジョージ6世と言語療養士のライオネル・ローグの身分を越えた友情の物語だ。
 アカデミー賞作品賞、監督賞、主演男優賞などを受賞した感動の歴史ドラマというのだが、斜に構えることが好きなJinchanとしては、失礼ながら、それがどーした?なんだな。
 こういう何かの障害を持つ人が自らそれを克服しようと努める話は嫌いではない。
 だが、障害者でなくたって人間誰しも多かれ少なかれ自ら克服しなければならないことを持っているもので、日々それを意識させられている者にとっては、この映画いい話だとは思うが、ん、それで?なんだよな。
 吃音症は、幼児の時の体験に原因があるということで、大英帝国の王子であっても子供にはつらい体験があったのだなと同情したが、やはり吃音症になりやすい”素質”もあるのではないか?
 私がよくわからないのは、そういう吃音症の王子を愛したエリザベス妃の心だ。
 恐らく彼女にも王子に共鳴する何かがあったのだろう。
 まあ、そういうことも深く掘り下げてみたいのではあるが、それよりも、はい、これは史実を基にした歴史ドラマでございますと言われると、もうちょっと史実を精査しなければならないのでは?と思う。
 大筋ではまあそういうものだろうと思うが、迷探偵Jinchanとしては細部が気になるのだ。
 Wikipediaを見れば、ちょっと許せないようなフィクションもあるようだ。
 我々はこういう歴史ドラマに対して、安易に史実そのものだと誤解をしていないだろうか?
 とりわけ、謀略がお得意な英国人のすることだから、眉に唾をつけて見なければね。
 ところで、我が国の言語不明瞭だった徳川第9代将軍家重って、謎の人物なんだね。
 女性だったという説があるのには驚いた。
 次は「ブラックブック」。
 これはてっきりドンパチする戦争娯楽映画だろうと思って見始めたのだが、題材がちょっと重たかったね。
 見終わった後、反ナチ・レジスタンス物映画の久々の大傑作を見たという快い疲れを感じた。
 これも無名の人間しか出てこないが、歴史ドラマと言って良いと思う。
 それとも、有名な人物がドラマに登場しなければ、歴史ドラマとは言えないとでも?
 ま、歴史ドラマの定義は、ええわ。分類が何だろうと、これは大傑作だから。
 ストーリーはこうだ。
 連合軍側へ脱出しようとして家族を皆殺しにされた歌手のラヘルは、助けてくれたレジスタンスに加わり、名前をエリスと変え、ユダヤ人である事を隠してドイツ軍に潜りこんで情報将校のムンツェ大尉の秘書兼愛人としてスパイ活動を始めたのだが・・・
 何かダーク・ボガードとシャーロット・ランプリングの傑作「愛の嵐」を連想するが、ああいう変態恋愛映画ではない。
 ナチの将校とユダヤ人の美女の禁じられた恋物語ではあるのだが。
 このナチの情報将校ムンツェ大尉は、ユダヤ人のにっくき敵ではあるのだが、非常に好意的な描かれ方で、まあ砂漠の狐ロンメル将軍とか、ナチにも当然そういう人物もたくさんいたのだろうなとは思う。
 反対に、この映画に出てくるようにナチと協力してナチ以上に積極的に同胞ユダヤ人狩りをした卑劣なユダヤ人たちがいたということも歴史上の事実だ。
 こういうナチ協力者に対する戦後のすさまじいリンチが少し描かれているが、こちらは抹殺されている不都合な歴史上の真実だ。
 この種のことを扱った本は、まさかと思うだろうが、欧米では発禁書となっている。
 世界の発禁書をリストアップしてみたら面白い。
 私も昔、発禁書に興味を持って目についた物から読み始めたのだが、4,5冊読んでダウンした。
 まあ、面白いのもあるが、義務感で読んだだけでついに関心が持てなかったのもある。
 すべてに関心を持つというのは無理だよ。
 それにしても、カナダ軍の占領地で武装解除して投降したドイツ軍人に対するドイツ軍の軍法会議の判決が有効であるというのには驚いた。
 本当にそんな法律があるのだろうか?ハッタリか?
 軍人は敵国の軍法にも通じていなければ、いざという時に我が身を守れないという教訓だな。
 防衛大学校では、やっぱりそういうのも教えているんだろうね。 
 ストーリーばかり追っていては、おバカな被害者にしかなれないよ。

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