Skip to content
2013年12月17日 / misotukuri

ブローナーVSマイダナ-採点の価値基準

 昨夜、WOWOWエキサイトマッチ、タイムリー・オンエアーで放送した、WBA世界ウェルター級タイトルマッチ、エイドリアン・ブローナーVSマルコス・マイダナは実に面白かった。
 結果は、2Rと8Rにダウンを奪ったマイダナが3-0のユナニマスデシジョンで新世界チャンピオンになった。
 事前の賭け率は、5:1でブローナーだったので、大番狂わせと言える。
 ブローナーは3階級目の王座の初防衛に失敗し、初黒星。マイダナは、2階級制覇に成功した。
 両者、共に強打者で、体格的にもほぼ同じくらいだったが、ウェルター級で戦った経験の長さのせいか、パンチの耐久力で差が出た。
 初回、奇襲攻撃を掛けたのはマイダナ。
 それがまんまと成功し、まだ十分身体がほぐれていないブローナーは、慌てふためいてバタバタ状態。
 2Rもマイダナの左右フックを振り回すワイルドな勢いが続き、ブローナーは後退を続ける。
 だが、マイダナのパンチは、ブローナーの予測以上によく伸びて来る。
 そして、ついにロープ際で、マイダナの左フックがスウェーバックするブローナーのアゴを痛撃し、ブローナー、ダウン。
 足に来ている。
 KOで決まったか?と思われたが、マイダナも息切れしたのか追撃できず、ブローナー、何とか逃げ切った。
 しかし、これでもうこの試合の流れは出来てしまった。
 後は、初めて打たれた衝撃から徐々に回復していくブローナーに、初回からの猛攻で急激にスタミナをロスして失速寸前のマイダナ。
 3Rからはこの両者が互いにラウンドを取ったり取られたりの状態が続いていく。
 しかし、これはブローナーにとっては有利な展開。
 距離を取って、マイダナが接近してくると、ハッハッと声を出しながら、鋭く速い左ジャブや左フックで、マイダナの出鼻をくじく。
 それでもマイダナが接近して左右フックを振り回すと、L字ブロックしながら大きくスウェーしてパンチをかわす。
 ああ、これはブローナーの逆転KOも時間の問題だなと思っていたら、何と8Rにマイダナの左フックが2連発ブローナーのアゴを直撃し、ブローナーふらふらっと二度目のダウン。
 途端に元気が出てきたマイダナ、しゃにむに攻め立てようとしたから、ブローナーたまらずクリンチ、ホールディング。
 ところがそれがしつこく、カッとなったマイダナはブローナーのアゴを頭で突き上げた。
 ブローナー、リングに寝転がって芝居っ気たっぷりに大いに痛がる。
 マイダナは減点1、ブローナーはロープにもたれて、長い長い休息を取った。
 しかし、休息できたのはマイダナも同じ。
 結果的に、それまでだましだまし使っていた長くは続かないスタミナを、回復させることができた。
 試合再開後も、怖じ気づいたブローナーは防戦一方。
 マイダナは攻勢を強めるが、すぐにガス欠気味になる。
 しかし、これでブローナーに行きそうになった流れを再びしばらく食い止めることが出来た。
 11R、最終回の12Rと、ブローナーが必死の猛攻を掛けマイダナ、こりゃ、まいっだなだったが、なんとか凌ぎきった。
 さて、判定はどうなったか?
 WOWOWの解説者、ジョー小泉氏の採点では、最終回勝負と言っていたから、多分、最終回を押さえたブローナーの小差の勝ちか引き分けだったろう。
 だが、私の採点では、序盤(1R~4R)のリードが物を言って、115-110でマイダナの勝ち。
 公式ジャッジの採点では、117-108,115-110,116-109で、三者ともマイダナの勝ち。
 9ポイント差、5ポイント差、7ポイント差という大差。
 最終回勝負どころか、マイダナの圧勝ではないか!
 WOWOWの解説者、ジョー小泉氏の採点より、私の採点の方がジャッジの採点に近かった。
 しかし、これはどういうことか?
 現場の雰囲気の中での採点と録画を見ての採点とでは、こうも違うのか?
 私は、初めてジョー小泉氏の採点に疑問を感じた。
 むろん、ジョー小泉氏の見識には遠く及ばない自分ではあるが、何か根本的なところで、ボクシングに対する価値基準が違うように思えた。
 2度もダウンさせられたとはいえ、攻防のテクニックにおいて勝り、効果的なパンチを当てた数ではより勝っており、11Rには敵をダウン寸前にまで追い詰めたブローナーを取るか、敵を2度ダウンさせたが、スタミナ切れを起こし、KOしきれず、逆に有効打で勝る相手に打ち込まれてダウン寸前にまで追い詰められるも必死に頑張ったマイダナを取るかだ。
 ブローナーは、態度が悪い選手だが、パンチ力も攻防のテクニックも備えた素晴らしいボクサーで、これまでほとんど効いたパンチをもらったことがない。
 そのブローナーがこれだけ打ち込まれるとは、マイダナは見た目以上にテクニックがあるのではないか?
 ブローナーもKO率は高く、マイダナともパンチ力では変わらないと思う。
 それなのに、ブローナーのパンチではマイダナは倒れず、逆に、マイダナのパンチでブローナーは倒れた。
 これは同じパンチ力でも、ブローナーとマイダナでは耐久力が違うからだろうと思う。
 マイダナはボディは弱いが、顔面の耐久力はかなりのものだ。
 あるいは、ブローナーのパンチは見た目ほどは当たっていないのかも。
 だが、マイダナの顔の耐久力が強いとして、そこで問題だ。
 同じ強さのパンチ力を持ったBとM二人のボクサーが対戦することになって、Bは攻防のテクニックに優れているが打たれ弱く、Mはテクニックでは劣るが打たれ強いとする。
 試合は判定決着となり、BはMを有効打では上回ったが、Mのパンチで2度もダウンさせられたとする。
 この場合、Bを勝ちとするのがジョー小泉氏、そして逆にMを勝ちとするのがこの日の公式ジャッジと私だ。
 両者の差はどこにあるのか?
 それは有効打に対する考え方の差だ。
 私は、ボクシングは殺し合いの代替スポーツであり、相手をKOするのが最高で、その次がダウンさせることだと考える。
 それが純然たる殺し合いなら、その時点で勝負はついているはずだからだ。
 だから、有効打というのは、それを打ち込まれた相手の耐久力によっても変わると考えるべきだと思う。
 ボクシングは、的当て競技じゃないんだからね。
 いや、どうしても、的当て競技だと言うなら、その場合の的は同じ材質なのか?ということだ。
 違うだろ。
 幾ら素晴らしい有効打を打っても、それで相手をダウンさせられなければ、その有効打の価値は、半減する。
 同じパンチ力でも、この夜のマイダナの2発はブローナーの10発に相当した。
 それを序盤のマイダナの攻撃で見て取った3人の公式ジャッジ、そして、私はブローナーのパンチはマイダナにはそれほど効かないと判断し、散発ながらブローナーに当てているマイダナに有利な採点となった。
 それは当然の判定だと思う。
 ただし、両者が再戦したら、用心深くなったブローナーが今度は間違いなくKOでマイダナを下すと思う。
 では。
 

%d人のブロガーが「いいね」をつけました。