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2014年2月10日 / misotukuri

横浜銀行ATM不正引き出し事件は猫に鰹節的犯罪か?

 横浜銀行のATMで他人口座から不正に引き出された事件。
 捕らえてみたら犯人は何と横浜銀行のATMシステムのメンテナンスを引き受けている富士通フロンテックの部長だった。
 この部長の、いや元部長だが、その手口は、次の通り。
 富士通フロンテックはATMに障害が発生すると、原因調査のためにATM内の口座データを暗号化した状態で入手するが、その口座データには口座番号のほか暗証番号も含まれ、それをメンテのテスト用に作るカードに入れるというもの。
 48口座から計2400万円を引き出したというから、1口座あたり平均50万円。
 これは一度に引き出したなら、不正引き出しがされたとすぐにバレる額だが、多分、一度に引き出したんだろうな。
 「市民ヴィンス」(ジェス・ウォルター)のクレジットカード詐欺の手口は郵便配達人とグルになって作るというものだったが、そのカードは自分では使わず売りさばいていた。
 この元部長はそういう露見防止策を取らず自分で使ってしまったところがいけなかったんだろう。
 何事にもパターンがあり、この場合それが単純すぎて、すぐに発覚した。
 信頼回復と同様の犯罪防止策で関係者は大変だろうが、こういう犯罪を防止するにはどうすればいいか?
 それは、人間性への理解度が試される問題だ。
 人間は何故悪いことをするのか?
 悪いことをした人間には、それをした「動機」と、それが出来た「機会」があったはずと考えるのが普通だ。
 だが、犯罪というものは、「動機」があっても「機会」がなければ起きないものだが、その逆は必ずしも真ならずなのだ。
 「機会」さえあれば、「動機」のあるなしにかかわらず、犯罪は起きる。
 というか、「機会」さえあれば、犯罪をしかねないのが人間というものなのだ。
 つまり、人間性悪説。
 そこらをきちんとわかっていないと、こうした事件を「猫に鰹節的犯罪」と捉えてしまう。
 つまり、猫を満腹させてやれば目の前に鰹節が転がっていても見向きもしないだろうと考えるのだ。
 この場合なら、下請けメンテの技術者の待遇を改善し、たとえば、給料をもっと上げてやるとかすれば、そんなカード詐欺などしないだろうという極めて浅はかな考え。
 そういう「動機」つぶしは、それはそれでやらなければ保たないだろうが、それだけではダメだ。
 誘惑の「機会」つぶしをしなければ。
 「機会」つぶしの方法には、相互チェックさせるのが有効だが、これも二方向ではダメで、少なくとも三方向からのチェックでなければならない。
 昔、私の口座に、かなりの大金が間違えて振り込まれたことがあり、私はそのことを銀行から知らされるまで全然知らなかったのだが、要するに、間違いに気がついた銀行はけしからんことに私の口座から勝手にその大金を引き出したのだ。
 何でも、嘘かホントか知らないが、口座番号は同じなのだが、店番を間違えたとか言っていた。
 銀行としては、私が通帳つけ込みして、異常な入出金があるのに気がついてクレームをつけて来ないよう先手を打って謝ってきたのだが、元来善良な性根の私でもあり、そういう不当利得でゴネて信用を失うリスクを冒すこともあるまいと鷹揚に応対したのだが、幾分惜しいことをしたものだと今でも思っている。
 まあ、それはともかく、このやり方は、横領の手口に応用できるね。
 チェック体制の穴に気がつかれただろうか?
 また私は昔、ある所の横領防止策を調べたことがあり、そこの神経の行き届いた巧みな仕組みに大変驚いたことがある。
 その後、大幅な変更があったと聞いているので、現在も同じかどうかは知らないのだが。
 それでわかったのだが、だいたい、小口の横領は、窓口業務をしている所で行われることが一番多く、次いで集金業務を行っているところだ。
 窓口部門は現場管理者の監視の目があるので、横領するのは難しいと思いがちだが、事実は違う。
 鋭敏な管理者はもちろんすぐに窓口の横領に気がつく。
 一ヶ月も気がつかないなんてことは絶対にありえない。
 もしそういうことがあるとすれば、管理者と窓口担当者の間に何らかの私的関係があるとか、管理責任を問われないよう見て見ぬふりをしているとか、あるいはグルなのだ。
 しかし、外部の人間にはそういうことはわからず、管理者の目の行き届かない集金人の横領に目が行く。
 だが、集金人の横領は、長年同じ所で集金の仕事をさせたりしていない限り、なかなか難しい。
 一方、大金の横領は、銀行や証券会社などの外交員でも、最近は「機会」自体がないので難しいだろう。
 にもかかわらず、もしそういうのがあれば、被害者もグルの詐欺事件を疑った方がいいだろう。
 そして、横領も、そういう大口になればなるほど組織のトップが裏にいると見ていい。

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