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2014年2月15日 / misotukuri

「マイクロワールド」のセンス・オブ・ワンダー度

「マイクロワールド(MICRO)」(マイクル・クライトン&リチャード・プレストン著)読了した。

故マイクル・クライトンのPCに残されていた原稿とメモなどを元に、クライトンの熱心なファンであり、エボラ出血熱ウィルスの恐怖を描いた「ホット・ゾーン」を書いたノン・フィクション・ライター、リチャード・プレストンが、仕上げたこれがホントの最後の最後の作品。

しかし、何というセンス・オブ・ワンダーに溢れている作品だろう!

縮小された人間の眼に映る大自然のこの素晴らしさ。

お見事です。

これだけの出来映えなら、マイクル・クライトンも満足しているのではないか。

数年ぶりに鼻風邪を引いてコンディションは最悪だったが、今朝は6時半くらいから起きて最後の100ページあまりを一気に読み終えた。

実は、その少し前、4時半頃にいったん目が覚めたのだ。

体調は、のどが痛くて相変わらず悪いものの、何だか頭だけが冴え冴えと澄み切ってくる感じがしたのだ。

そして、突然、天啓のようなひらめきがあり、この小説の核心的謎についてクライトン&プレストンがどういう説明をするのか、わかったような気がした。

ニーチェの回復期の人間ではないが、風邪からの回復期に、私にはよくあることだ。

それまでああでもないこうでもないと考えていた難問が、まるで嘘のように突然解けるのだ。

ただし、風邪が完全に治って正常な頭でもう一度その解答を精査すると、たいてい完全に間違っているのだが。

今回は、風邪の方はまだまだなのだが、小説の方はそれとは無関係に終わりがあり、そこまで読み終えたので、結果も当然出ており、どうだったかと言えば、完全に間違っていた。

なんだこりゃ?だ。

しかし、不満は残った。

というのも、その核心的謎については、最後まで説明がなされなかったからだ。
おそらく、だから、クライトンは、この作品を何十年もかかりながら、なかなか仕上げられなかったのだろう。

して、その核心的謎とは、こうだ。
人間を1/100くらいに縮小できる信じられないような技術があるとする。

その場合、人間の肉体を構成する元素や分子も縮小されるのか?
もちろん、あり得ない。
では、元素や分子を縮小せずに、どうしたら形態や機能をそのままに縮小できるのか?

本を読んでいるときにも考えていたが、その時の考えは、デジカメ写真の縮小のように間引きしたら可能なのではと思った。

人間の身体の中には、炭素原子は、約450,000,000,000,000,000,000,000,000個あるらしい。

これを1/100くらいに縮小しても、約4,500,000,000,000,000,000,000,000個ある。

どれもこれもがそうではないにせよ、圧縮比が1/100程度では、原子レベルでは形態や機能は損なわれないと思う。

ただ、デジカメ写真でも圧縮すると、表情などややゴツく見え、それを拡大すると粒子が粗いのがよくわかる。

これは、まさに「マイクロワールド」に出てくるミクロな人間が通常サイズの時には考えられないようなスーパーマンぶりを発揮する説明にもなる。

相対的なものだが、サイズが小さいと、主観的時間は速く流れ、エネルギー消費率も高く、あたかも密度が高いかのように見える一生を送るようになる。

だから、そんなもの大丈夫なんだよという答えでは、小説としてなってないし、合ってるかどうか自信もない。

恐らく、寝ている間も夢で考えていたんだろうな、何しろ、債権の取り立てを囲碁の夢で解いたというJinchanだから。

私のこの「核心的な謎」に対する夢で解いた答はこうだった。

多分、この技術は、物質を縮小するのではなく、本物そっくりな極小アバターを作るものなのだ。

で、本物は、縮小されるとき(実際は縮小などされておらず)、意識を失ってどこかで昏睡保存されている。

そのアイデンティティは極小アバターにコピーされ、起動すると同時に縮小された後目ざめたように勘違いする。

だから、縮小されているときに事故などで死んだとしても、本物の人間はぴんぴんしている。

ただし、極小アバターがモニターされていないときに死んだりすると、本物も昏睡から覚めない場合もある。

・・・というものだ。

ただし、先にも書いたとおり、全然違っていた。

翻訳者は、あの酒井昭伸だが、あと書きを読むと、彼なりの知恵を絞って考えたようだ。

簡単に言うと、次元変換で見かけ上小さく見えるだけ、というものだが、それは違うだろうと思う。

見かけどおり小さくなければ、説明がつかないことが多々ある。

まあ、SFを読む楽しみというのは、こういうことを、ああでもないこうでもないと考えることにある。

SFファンにオススメの一作だ。

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