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2014年5月9日 / misotukuri

負けた井岡一翔は、東京さ行け

 この間の三階級制覇を懸けたアムナット・ルエンロン戦、久しぶりに予想どおりに井岡一翔が判定で負けたが、その負け方は実に完敗だった。
 ところが、井岡陣営は井岡が、勝っていたと心底から思っていたようだった。
 本人も「勝ったと思った」と言っているから、まあ、勝っているのではないか?というぐらいは思っていたのだろう。
 また、中には、井岡の勝ちにしても良いくらいの内容だったと思っているコアなファンもいたりするから、ややこしくなる。
 あの試合を見たファンのほとんどは、アムナットの大差での勝ちと思ったはず。
 だから、公式ジャッジの一人が意外にも井岡の勝ちにしたのを聞いて、オオッ?という驚きのどよめきが会場を満たした。
 そんな判定があるのか?信じられない!という感じだった。
 これが同じ2-1で井岡が勝っていたら、場内騒然ブーイングの嵐だったろう。
 井岡の勝ちにつけたジャッジの採点を例によって子細に検討しても良いが、多くのファンが井岡の負けと思っている上、ジャッジにペナルティも科されていないし、結局、見方の相違になるので、止めておこう。
 問題は、井岡陣営が井岡の方が勝っていたと本気で思っている事だ。
 こちらの方が問題が大きい。
 私の採点では、出来るだけ井岡に好意的につけたつもりだが、それでも117-110でアムナットの勝ちだった。
 採点というのは、採点基準で採点するのだが、明らかに差がある場合は基準もクソもない。
 あくまで、競った内容だった場合に、テンポイント・マスト・システムでどちらに振るか参考にするための基準なのだ。
 全体的に振り返ってみると、アムナットが確実に取ったラウンドはいくつかあったが、井岡が確実に取ったと思えるラウンドは一つもなかった。
 その意味で、印象的にはアムナットの大差の判定勝ちだが、拮抗したラウンドが多ければ、採点上は井岡の勝ちにするのもあり得たとは思う。
 現に、一人のジャッジは井岡の勝ちにつけている。
 このジャッジも同じ採点基準で採点しているはずだから、終始前に出ていた井岡の攻勢を評価したのだろう。
 しかし、この「前に出ていた」というのも、何故なのかを考えれば、必ずしもしたくてしたわけではなく、そうせざるを得なかったのだと思う。
 というのも、二人はタイプとして同じ前後に出入りするボクシング・スタイル。
 しかも、アムナットの方がよりダイナミックに出入りする。
 また、リーチも長く、懐が深いというアドバンテージがあった。
 だから、井岡とすれば、いつも以上に距離を詰めて接近しなければ自分のパンチが当たらなかったのだ。
 それで、前へ出る。
 そこをアムナットにカウンターで打たれ、前進が止まる。
 これではならじと、更に踏み込もうとすると、サッとアムナットに引かれる。
 クソッと前に出ると、またしてもアッパーなどのカウンターが飛んでくる。
 それの繰り返し。
 わかっちゃいるけど、どうしようもない。
 これは、攻めているのではなく、攻めさせられているのだ。
 攻めているのなら、少なくともパンチを当てなければダメなのだが、井岡のパンチは後半はともかく前半はほとんど当たっていない。
 アムナットのパンチもほとんど井岡のガードの上からなのだが、いかにも硬そうで、KO率以上の迫力があった。
 特に、ロングのアッパーをあれほど打ってくるとは、想定外だった。
 戦前、井岡は踏み込んでくるアムナットにショートのアッパーを打てば良いと思ったが、逆にやられてしまったね。
 井岡こそがやらなければいけないことを先手を取ってアムナットが逆にやって見せた。
 しかも、威力十分で、井岡はそれを警戒せざるを得ず、それを見せつけられてからは、鋭く中に飛び込んで行くことが出来なくなった。
 1R目を見ただけで、ああ、これはダメだと思ったよ。
 今夜の井岡はファイターになったようだと誰かが言っていたが、ファイターの練習を本当にしたのかと思うね。
 チキンハートの井岡では、打たれることを恐れるあまり、カウンターのカウンターが打てない。
 打つ瞬間、頭を振って、相手のカウンターを避けつつ、二の矢を打つ。
 ロマゴンなんか、その点、あんなに接近しているのにほとんどパンチをもらわないよ。
 よく見ると、頭の位置が良く動いている。
 ファイターなら打たれる事に耐えなければいけないし、身体を柔らかくしてパンチを減殺するテクニックを身につけなければいけない。
 より強くより速い同じタイプのアムナットに、にわかファイターにさせられた時点でアウトだった。
 後半、8ラウンドに井岡のボディーブローが効いたのか、アムナットのスタミナが切れたのか、アムナットはめっきりスピードがなくなったが、以後、ごまかしのボクシングに転じた。
 しかし、それを井岡は攻めきれない。
 スタミナが切れてふらふら逃げまくるアムナットだが、手数はきっちり出ていて、ハエ叩きのようなパンチで威力はないものの見栄え良く井岡の顔面にヒットする。
 逆に、井岡はまだガードを高くして、アムナットを追いかけるだけ。
 こういう場合、疲れているのはポイントに関係ない。
 前のラウンドのパンチがまだ効いていて、どこでも当たれば倒れるような状態でも、当てられなければポイントは取れない。
 8R終わった時点で私の採点では6ポイントもアムナットのリードで、残り4R、全部取るだけでなく、ダウンを3回奪うかKOするかしないと、もう、井岡の勝ちはない状態だった。
 ここにきてガードに気をつかうより、アムナットに打ち込むことを最優先とすべきで、何を考えているのかと思った。
 しかし、井岡陣営は何と勝っていると思っていたのだね。
 こりゃ、はっきり言って、この連中はダメだ。
 井岡の打つところしか見ていない。
 客観的に情勢を見て、相手の弱点を見つける能力がない。
 アムナットは、スタミナに問題があるようなので、徹底的にボディーを狙ったら良かった。
 相手のパンチはブロッキングで耐えに耐えてジュニア・ジョーンズを11RTKOに下したジョン・マイケル・ジョンソンばりにやろうとしたのかもしれないが、それならもっと踏み込まなければ。
 井岡は、3階級制覇をまだ狙うなら、ジムを変えた方がいい。
 東京さ行って、帝拳とかに入門しろ。

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