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2014年8月18日 / misotukuri

「ブラインドサイト」読了-まるで小松左京のように

 長いことかかったが、ようやく「ブラインドサイト」(ピーター・ワッツ著)読了した。
  これは、決して、いわゆる傑作とか大傑作とかいうのではないが、凡百の小説を措いてもまず読むべきだと思う21世紀前半の問題SF小説だ。
  よくぞこの小説を手に取ったものだと思う。
  私のSF遍歴もここ20年の間に、グレッグ・イーガンの「順列都市」、「万物理論」、「ディアスポラ」、ロバート・チャールズ・ウィルスンのスピン三部作、特に完結編の「連環宇宙」と、読む価値のあるSFを読み継いで、オレも以外と遠くまで来てしまったな感を覚えていたのだが、まだまだ、更なるフロンティアがあった。
  それがこれ。
  自分の思考が老境を迎えて一段落しようとしていると思っていた矢先に、その思考のフェーズを一段も二段もレベルアップした世界があることを見せられた思いがする。
  これはまあ、いわば、スペキュレイティブ・フィクション(Speculative Fiction:思弁的小説、ニューウェーブSF)の復活だな。
  この「ブラインドサイト」は、文庫本で上下二巻、600ページくらいのほぼ8割方が議論で費やされている。
  それが全てまるで小松左京のように展開されるワクワクする啓発的、科学的議論なのだ。
  作者による議論の脚注が最後に「あとがき」として載っているので、それも後で必読されたい。
  最大のテーマは、人間の「意識」とは何か?そしてその価値はあるのか?ということだ。
  これはあなたのSF的読書力が試される小説だ。
  ストーリーは単純で、太陽系外縁部、オールトの雲あたりで巨大構造物と遭遇した宇宙船テーセウスによるファーストコンタクト(最初の接触:未知との遭遇)の状況を描いたものだ。
  ストーリーだけを追いかけていると、まるでアンドレイ・タルコフスキーの退屈なSF映画「ストーカー」のようだとか、いろいろどこかで読んだようなエピソードがでてくるのだが、まあ、それはいいだろう。
  これからは、この「ブラインドサイト」のあとがきで述べられている文献のどれか一つでも読んでみたい。
  では。

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