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2014年10月4日 / misotukuri

SF映画「パンドラム」はスターシップ・テーマのてんこ盛り

 昨夜、愛媛から帰ってきて、すぐには寝付けそうもなかったので、スーパー・ドラマTVで映画を見た。
 「パンドラム」(09年、独・米、クリスチャン・アルヴァート監督、デニス・クエイド、ベン・フォスター他)
 全然、予備知識がなかったので、驚いてしまった。
 何と、これはスターシップ・テーマに正面から取り組んだSF映画ではないか!
 私も結構SF映画を見ている方だが、スターシップ・テーマのSF映画を見たのは初めて。
 スターシップ・テーマというのは、人類が他の恒星系宇宙の地球型惑星に植民するのにスターシップつまり恒星間宇宙船に乗って何百世代もかけて行かねばならないのだが、その過程で生じる困った出来事を取り上げて、我々の社会風刺をしようとするものだ。
 もちろんSFだから、まず設定について科学的説明がしっかりしていなければならない。
 その上で、社会を構成する動物である人間たちのあまりに人間的な人間的な要素ゆえにスターシップの中で陥っていく罠をドラマチックに描いていかなければならない。
 このテーマでは、ロバート・A・ハインラインの「宇宙の孤児」という二つの中編からなる古典的名作がある。
 他にも、多くのSF作家がこのテーマに取り組んできて、面白い作品もいろいろあるけれど、まずこれ以上の作品はないと言って過言ではないだろう。
 この小説には、このテーマの考えられる要素が全て詰まっている。
 ところで、そういう絶対的比較基準でこの映画を見ると、合格点を差し上げてもいいくらい良く出来ていると思う。
 これに出てくるスターシップの冷凍睡眠だが、6万人を何万年も冷凍睡眠させるのが可能かどうかはともかく、スターシップのクルーは、最低5つのチームに分かれていて、2年ごとに交代することになっているようだ。
 また、冷凍睡眠の弊害で、軽度の記憶障害や認識障害に罹ったりするというおことで、とくに妄想・幻覚に悩まされる症状を「パンドラム」と名付けている 
 あるクルーが目覚めると、チームの他のクルーは全員死亡しており、宇宙船内は得体の知れない怪物が跋扈している地獄と化していた・・・という出だしは、ぞくぞくするね。
 怪物達は、エイリアンなのか、それとも冷凍睡眠していた乗客達が放射線などの影響でミュータント化したのか・・・
 これにも映画の中である仮説が立てられる。
 それがまたSFファンならなるほどと思わせる説明(ほんの一言なのだが)で、それを聞くだけでも価値がある。
 冷凍睡眠せずに何百世代もかけて目的地にたどり着く場合のリスクと冷凍睡眠を使う場合のリスクとどちらがいいのか、前者は「宇宙の孤児」で後者は映画「パンドラム」だが、多分、どっちもどっちだろう。
 前者の場合は、ドラマ作りの上では、社会風刺の色彩が強くなるのに対し、後者はサスペンス・ホラーに向いている。
 つまり娯楽映画にし易いということだ。
 後半、幾分映画はジェイムズ・ホワイトのスターシップ・テーマの小説「生存の図式」にも似てくる展開だ。
 この映画の製作関係者は、かなりのSFファンだと思う。
 人口爆発による食糧紛争の最終的解決として他の恒星系宇宙の惑星への植民が選ばれるというあたりも我が意を得たりでもあるし、他にもスターシップ・テーマの様々な要素がほとんど網羅されていて、これはなかなか良く出来ていると思う。
 では。

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