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2015年1月14日 / misotukuri

「シャルリー・エブド」襲撃テロを文明史的に見たら?

テロの本質とは何か?
私的理解によれば、弱者が強者に一矢報いようと手近な暴力的手段に訴えることをいう。
なぜかというと、それ以外には敵わないからだ。
実際、彼らに他に何が出来ようか。
「シャルリー・エブド」って、予言者ムハンマドを揶揄したというより、ようするにそのことを通じて、イスラム教徒を嘲笑ったわけだろ?
そう言うあんた、いったい、何様よ!って言いたくもなるんでないの?
出版差し止め、回収と謝罪広告を請求して、民事裁判を起こす?
それで、どうなるん?
「表現の自由」だ。どーにもならんだろ!
じゃあ、この侮辱、どうしたらスカーッと晴れるのか?
イスラム・テロは神風特別攻撃に似ている。
そういう行為はあまり効果的とは言えずむしろ愚かしいと思うが、その心情はわからないでもない。
フランスでは「シャルリー・エブド」襲撃テロに対して「表現の自由」を守れとものすごい規模のデモが起きている。
また、NYのアノニマスというユダヤ系ハッカー集団が同テロへの報復として、アル・カーイダ系のウェブサイトにサイバー攻撃をしかけたりしている。
が、これらは、増々イスラムの憎悪をかきたてることになろう。
逆効果だ。
現に、イエメンのアル・カーイダが犯行声明を出し、今後も攻撃を次々にして行くと言っており、それは嘘ではないだろう。
今回の問題は、「表現の自由」に限度はあるのか?ということと思う。
欧州のそれは、はっきり言って、ダブル・スタンダードで、無制限ではない。
現にドイツなどナチス思想については法律で罰則付で禁止している。
宗教を揶揄し、貶める表現は、それが強者の宗教なら何かの意味はあろうが、よるべなき弱者がすかる宗教を強者が嘲笑うために行うのは、卑しいサディズム以外の何ものでもない。
オバマ米大統領が、「14世紀の世界観の持ち主が21世紀の武器を持っている」などと言ったのも、事実としても、それをあんたが言っちゃあおしまいだろう。
まさに強者の傲りそのものだ。
こういう傲慢な態度が改まらない限り、「天誅だ!」と一命を賭してでも銑槌を加えんとする者は跡を絶たないだろう。
歴史に名高いテロリストと言えば、秦の始皇帝を襲ったテロリスト。
「風蕭々として易水寒し、壮士一たび去りて復た還らず」の荊軻(けいか)だろう。
こういうのは、確かにかっこいい。
もっとも、彼の暗殺計画が成功したとしても、秦の天下統一という流れは変わらなかったのではないか?
当時、政治的に秦の先進性に敵う国はなく、一度は法治主義、中央集権郡県制、貨幣や度量衡の統一、焚書坑儒を、誰かが実施する必要があった。
強者の始皇帝に理があり、弱者の荊軻には何の理もなかったのだ。
この点、欧米的価値観という強者に理があり、それに立ち向かう弱者のイスラム・テロに理がないのと全く同じだ。
ただ、イスラム・テロも、女子供を使ってやるようでは堕落も甚だしく、終りが近いのかもと思う。
もっとも、イスラム国のようにテロリストたちが国家を作るようになると、テロはもはやテロとは言えず、ゲリラ戦の様相を呈して来たようにも思える。
こういう事態はこれまでの常識では考えられないことだと英米の軍事専門家は言うが、そうではない。
12世紀から13世紀にかけての十字軍がそうだ。
これは、聖地エルサレム奪還を目指した野蛮なヨーロッパ各地のボランティアによる先進地イスラムへの遠征軍で、一時的には十字軍国家も建設していた。
まるで、これって、今起きていることの逆じゃないか?よく似ている。
ヨーロッパに移民していたイスラムの若者達が、イスラムの大義に目覚め、聖地エルサレムを奪還せんと、続々とイスラム国に参加しようと集まってくる・・・というのとやっぱ似てるよね。
「シャルリー・エブド」の事件など、その過程で起きた残虐な蛮行で、十字軍がかってやった残虐な蛮行とどう違うのか?同じだ。
だが、彼らの軍事的な試みはかって十字軍が失敗したように、やっぱり失敗するだろう。
ただ、十字軍によって先進地イスラムから学んだ新しい技術や思想によって、ルネッサンスが起こり、まず宗教と哲学の分離、そして科学の発達がヨーロッパに生まれた。
同様に、イスラム・テロリストたちが今行っている時代錯誤的聖戦(ジハード)は、それがいくらやっても結局は失敗することから、結果的に恐るべき西欧的思想が長らく眠っていたイスラム世界に衝撃をもたらし、あらゆる面で新たな進化を促すだろう。
だが、十字軍が170年かかったことを思えば、時間の流れが数倍速くなったとしてもまだまだ20年やそこらはイスラム・テロは終わらないだろう。
今回のテロ事件を、表現の自由に対する挑戦だなどと、傲慢かつ下らない見方は捨てて、もっと文明史的に見てはどうか?

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