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2015年7月19日 / misotukuri

映画「永遠のこどもたち」のゆえなき罪悪感度

 一発録画に失敗したと思った映画「永遠のこどもたち」(13年、メキシコ・スペイン、J・A・バヨナ監督、ベレン・ルエダ、フェルナンド・カヨ他)、見事に録画できていた。
 どうして見つけられなかったのか不思議だが、今年100本目の映画として見ることにした。
 この映画、ギジェルモ・デル・トロの制作総指揮のせいか、どこか「パンズ・ラビリンス」を思わせる雰囲気の映画だね。
 つまり、不幸な境遇の子供たちが更に不幸に見舞われる中で、悲しい現実逃避の夢の世界に入っていくことで救われるというモチーフは同じだ。
 ただ、この作品の主人公は、元孤児で大人となった今は幸せなのだが、心の中では育った孤児院の仲間を見捨てて自分だけが幸せになっているという深い負い目を感じている。
 それは、大災害や戦争などで一人だけ生き残った者が感じる罪悪感と同じものだ。
 主人公の育った小さな孤児院は、彼女が貰われていった後で、孤児の一人が事故死し、その後次々にすべての孤児が失踪してしまうという事件が起きて閉鎖されてしまっていた。
 30年後彼女は、養子の息子がHIV感染者で長くは生きられない運命だと判明したあと、いろいろな理由で援助が必要な子供たちを預かる養育院を開くため、むかし自分が育ったその孤児院を買い取る。
 そして、いよいよ医者の夫と息子とともにその孤児院に移り住むことになったのだが、そこで彼女を待ち受けていたのは・・・・
 これは、ホラーだね。
 幸せな人生を送ってきた人には見て欲しくない映画だ。
 そんな人にそうでない人並みに軽々しく感動して欲しくない。
 何故私にだけ次々に不幸が起きるのかと思ったことがある人にはぜひ見て欲しい。
 ホラーには超常現象がつきものだが、それは必ずしも超常現象が世の中に存在するということではない。
 超常現象は、超常現象を感じ取れる人の現実においてのみ存在する現象だ。
 そして超常現象を感じ取れる人というのは、たいてい心に故なき罪悪感を抱えている不幸な人なのだ。
 この映画の主人公も心に故なき罪悪感を抱えている女性だ。
 映画を見終わった後、彼女の幸せと不幸を数え上げ、その罪悪感の源泉を探してほしい。
 彼女は見舞われた不幸の中で超常現象に傾斜し、それが不幸の真相の解明に導いてくれる。
 彼女の最終的選択は、永遠のこどもたちだった。
 非常に緻密に組み立てられたホラーと思う。
 素晴らしい出来映えだ。
 では。

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