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2015年9月6日 / misotukuri

小説「猟犬」のノルウェイの森度

サバならぬノルウェー産ミステリ「猟犬」(ヨルン・リーエル・ホルスト著)読了した。
ある日、17年前の誘拐殺人事件で容疑者有罪の証拠が捏造された疑いによる告発が起き、当時の捜査責任者の刑事ヴィスティングは停職処分を受け、内部調査を受ける身となる。
状況証拠ばかりの容疑の中で誘拐現場に落ちていたタバコの吸い殻の1つがDNA検査で容疑者のものと判明し有罪の決め手になったのだが、それは尋問を受けていた際に警察側から与えられた銘柄のタバコのようだった。
すり替えが事実だったとして、誰がそのようなことをしたのか、本当に冤罪だったのか、ヴィスティングは批判の矢面に立たされながらも、個人的に捜査資料を見直していく。
結果的に冤罪事件となった事件の捜査する側の陥りやすい心理パターンというのが非常によく描かれていて面白い。
これはノルウェー産だからどうのこうのというレベルではないね。
十分、国際的に通用する傑作ミステリだ。
しかし、やはり日本にはあまり馴染みのない国のミステリなので、おや?と驚かされることが何度かあった。
1 ウォークマン
これは確か再生専用と思ったが、翻訳ミスかもしれない。
ノルウェーで販売されたものには録音機能がついていたのかも。
だが、被害者の声の録音がどのようにされたのかについては、最後まで不明。
説得力不足だが、これも犯人の陽動作戦の一環だったのかも。
ウォークマンのくだりはなくてもストーリーの大筋に影響ないと思う。
考えれば考えるほど、わからない。
2 電話帳
携帯電話の番号まで載っているようだが、どういう制度だろうか?
3 インターネットから市の土地台帳が閲覧できる!
土地家屋等の固定資産税制、登記登録制度はどうなっているのか?
4 ズーム機能を使って縮尺の比率を小さくしたら、大きく見える?
これは翻訳の間違いだろう。以下はコピペだが、
比とは、同種類の二つの量a,b(≠0)に対して、商a/bをaのbに対する比、
またはaとbの比といい、a:bで表す。
このaを比の前項,bを後項といい、a/bの数値を比a:bの値という。
5 最高感度iso25600のコンデジって?
最新型のカシオ、SONYにあるようだ。
6 ノルウェーの高速道路はETCがあるようだが有料なのか?
高速道路だけでなく市内に入る度に道路課金されるらしい。
道路特定財源用だ。
7 証拠のすり替え(ねつ造)は警察なら簡単にできるのか?
難しそうだが日本でもこれくらいの厳密な管理がなされているのだろうか?
こんなに厳密でも、可能性は十分あるわけだ。
他にもあったが、メモし損ねたので忘れた。
特に、最後の証拠ねつ造だが、この場合、容疑者には証拠がねつ造されたことはわかっているわけで、それを裁判で指摘することも出来るが、証明が出来る場合と出来ない場合がある。
ところが、ねつ造についての証明=無罪の証明とは必ずしもならないというのが冤罪が疑われる事件の場合に難しいことだ。
たとえば、袴田事件、和歌山ヒ素入りカレー事件などがそうだ。
足利事件は、DNA再鑑定で冤罪とされたが、実際は疑わしきは罰せずだろう。
被告側は、無罪の証明をする必要はなく合理的疑いがあることを示せばいいとは言うが、もちろんそれで被害者側や捜査側が納得するわけもないことではある。
また、合理的疑いの判定もそれを判定する人によるのが、難しいところだ。
証拠ねつ造による冤罪を防ぐ方法は、ノルウェーみたいに捜査責任者を冤罪被害者と同等以上の罰に処することだろう。
死刑だったら困るだろうから、違法捜査防止のプレッシャーにはなるだろうが、この小説のように事件が起きても誰も真剣に捜査しなくなるだろう。
これも犯罪というものの本質を理解していない戯言だな。
では。

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