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2015年9月27日 / misotukuri

「夜に生きる」読了ー10年に一度の大傑作

 「夜に生きる」(デニス・ルヘイン著:ハヤカワ・ポケミス)読了した。
 2013年度のアメリカ探偵作家クラブ長編賞(エドガー賞)受賞作品だが、おそらく10年に一度の大傑作だということに異論をはさむ人はいないんじゃないかと思う。
 それほど素晴らしい出来映えで、まさに巻を措くあたわずとはこのこと。
 禁酒法時代のギャングの話なんて古くさくてちょっとね、と私も最初思って、1年あまり積ん読だったが、いざ読み始めると、これがまあ、何と面白いことか。
 愛の物語だね、これは。
 まずは、肉欲で結ばれた男女の愛の背後に父と子の無償の愛が語られる。
 そして、ギャングのボスと部下の父子関係を思わせるまがい物の愛。
 いつ裏切るかわからない仲間との同志愛。
 主人公にとって三人の重要な女が出てくる。
 虚無の女、熱情の女、無垢な女。
 彼女たちは、主人公の行動に大きな影響を与え、彼を支配する。
 チンピラ・ギャングのジョーは、ボストンを仕切る敵のギャングのボスの女エマをこともあろうに愛してしまう。
 これがどういう結末になるか、そんなもの誰にもわかっていることだ。
 そういうほぼ既定の最終目的地に向かって短くもあり長くもある波瀾万丈の人生を急速に成長しながらまっしぐらに突進していく。
 ホントに、どこもケチのつけようがない。
 どんな小説にでも、すっ飛ばしたくなるつなぎの部分があるものだが、この小説に限って、そんなのが全くない。
 というより、いったいそれがどーしたってんだというような長々と意味もない描写を続けないのだな。
 平の描写があっても、すぐにああそういうことかとその意味がわかる仕組みになっている。
 緩みがないってことだろうな。
 強いて言えば、謎解きミステリじゃなくて、「ゴッド・ファーザー」ばりの犯罪小説だってとこが、気になるかな?
 この小説がスゴイなと思い始めたのは、やたらとギャング人生の処世訓というかご託を並べるボスが簡単に消されてしまうあたりからた。
 そう、それはどんなに注意深くやっていても、物事はそんな人間の思いとは何の関係もないところで、うまく行かなくなることだってあるというメッセージだ。
 こういうのを何というのかな?シニカルな人生観?
 一方、人間にはそれぞれに持って生まれた本性のようなものがあるのではないかとも思える。
 実際はないのだろうが、思春期までに形成される基礎的人格のことかも。
 どんな人生を送っていても、それからは逃れられない。
 ジョーの場合、それは優しさだろう。
 まあ、下手にストーリー紹介などして、まだお読みでない方の楽しみを奪ってはいけないので、これくらいにしておく。
 とにかく、これまでのNWA賞受賞作の中でもベスト3に入れてもいいくらいの傑作だと思う。
 ぜひ、ご一読を。
 では。

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