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2016年2月5日 / misotukuri

映画「クリーンスキン 許されざる敵」の本物度

 先ほど、映画「クリーンスキン 許されざる敵」(12年、英、ハディ・ハジェイグ監督、ショーン・ビーン、シャーロット・ランプリング、アビン・ガレヤ他)を見たところ。
 ヨーロッパの対テロ戦争の本質を突く映画だね、これは。
 イスラム系英国人がイスラム教の指導者によって勧誘され、テロリストとなって、自爆テロを実行するまでのひとつの過程を描いていると同時に彼を追うテロリスト・ハンターが陰謀の罠にはめられて行く姿を描いている。
 英国におけるイスラム系住民は、日本で言えば、いわば日本で生まれ育った在日朝鮮人みたいなものだな。
 父祖の国の人間には、「英国人だ」とか、「日本人だ」とか言って嘲られ、英国や日本ではそれぞれイスラム人(?)朝鮮人とみられている。
 どちらからも本物とは見てくれず、マネやフリをしている偽物だと思われ、蔑視される。
 彼らは、どちらかになりきりたいので、どちらになるにせよ、本物と認められたいあまりに、とかく純粋というか、抽象的で極端な方向に走るのだ。
 イスラムの本国人は、欧米との戦いで、多くの者が家族や友人を失っており、その復讐という個人レベルの戦いになっている。
 また、対テロ戦争に狩り出された兵士達も、最初は国のため戦っているという意識だったと思うが、そのうち激化したテロで家族や友人を失ったりして、同じく個人レベルの戦いになってしまっている者も次第に増えて来ている。
 だが、英国やフランスなどのイスラム系国民で、イスラム・テロに参加する人間達にはそういう深刻な個人的理由が見いだせない。
 えっ?あの人が何故テロを?という具合に、傍からはよくわからないのだ。
 この映画を見ていて驚いたのは、英国の対テロ対策の司令部になっている部署が、自分たちの失敗でテロを防げなかった批判を恐れ、国民に対して嘘をついて、責任を免れようと謀略をするところだ。
 洋の東西を問わず、高級官僚というのはどうしようもない人種だね。
 こういうもつれきった対テロ戦争、逆にはジハードを、止めさせるのにはどうすれば良いか。
 もはや、デス・マッチになってしまっている以上、どちらかがつぶれるまでとことんやるしか仕舞いをつける方法はないだろう。
 ただ、お互いがもう止めたくなれば、止める方法がなくはない。
 段階的にデタントに持って行くのだ。
 最終的かつ不可逆的解決は、どちらかに解決したくない者がいる限り無理なので、まずはお互いの中にいるそういう者を徹底排除することが肝心だろう。
 しかし、彼ら熱心な強硬派は、ハシゴを外され、当然、仲間に裏切られたと思うだろうな。
 だが、いつかはそういう段階が来る。
 この映画は、そういう解決方法を暗示するものでもあるように思えた。
 では。

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