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2016年6月8日 / misotukuri

映画「寒い国から帰ったスパイ」のヒロイン度

 BSで映画「寒い国から帰ったスパイ」(65年、英、マーティン・リット監督、リチャード・バートン、クレア・ブルーム、オスカー・ウェルナー他)を見た。
 原作は、「寒い国から帰ってきたスパイ」(ジョン・ル・カレ)。
 もう何十年ぶりか忘れたよ。
 こういうストーリーが完璧な映画というのは、一度見たらもう当分見る気がしなくて、結果、これで3回目くらいかな?
 だが、傑作なので、永久保存版のDVDを作っておこう。
 小説は、昔、新宿区立(?)図書館で借りて読んだが、買ったかな?
 買ったとしても、本棚のどこにあるか、ちょっとわからんな。
 読み直してみたくなった。
 ただ、カラー映画じゃなかったんだね、それだけは忘れていたよ。
 映画冒頭のチェックポイント・チャーリーのシーン、個人的に懐かしいね。
 1991年9月、ベルリンに行ったときには、真っ先にそこに行ったが、何もなかった。
 検問小屋が廃止撤去されたのはその1年前の1990年6月だが、観光名所となったというので、今また復元されているようだ。
 ベルリンの壁も打ち壊されていないのは落書きで一杯だった。
 それを見ながら、場所は違うのだろうが、ああこういうところであの有名なラスト・シーンだったんだなと思ったものだ。
 「冬ソナ」がブームの時、ドラマに出てきた場所を訪ねるツアーが盛んに行われたことがあったが、心理としてはそれと同じだな。
 それにしても、主役の二人はミスキャストと昔は思ったんだが、今見るといいねえ。
 特にクレア・ブルームなんて図書館司書らしく地味なメイクにしてるけど、まだ若くてきれいだね。
 さすが、面喰いチャップリンの愛人(?)だ!
 彼女(ナン)が「あなたは何を信じているの?・・・・私はね、歴史を信じているの、少しね。自由も少しだけど信じている」と言って、リチャード・バートンが冷笑して「もしや、君は真っ赤なな共産主義者だったのかい!」と言うシーンも忘れていた。
 これもストーリーの展開上重要なそして名台詞だった。
 こういう素朴に社会を良くしたいと思う純真で優しい善人だからこそ、アレック(バートン)は彼女を汚くて非情な謀略の世界に巻き込みたくなかった。
 だが、もう既に彼女はコラテラル・ダメージ(やむを得ない犠牲)とされる運命になってしまっていたのだ。
 英国のヒロインの伝統って、美人と言うよりはその他の要素で主人公の気持ちを引きつけるのが多いね。
 美人でも、美人なのに可哀想にと同情を引く要素を必ず持っている。
 そうか、これが大衆受けするコツなのかと思う。
 リチャード・バートンはシェイクスピア劇の名優らしく、目の演技が出来る。
 この映画は、まだエリザベス・テーラーと結婚したての頃だな。
 なお、先ほどのナンの質問だが、アレックは「バスの運行表なら信じてる」と答える。
 このシニカルなセリフは、「第三の男」のハリー・ハラーがウィーンの大観覧車のシーンの「スイス500年の平和は何を産んだか?ポッポ時計さ」というセリフに匹敵する。
 脇役もまた芸達者ぞろいだ。
 フィードラー役のオスカー・ウェルナーは、「華氏451」なんかのイメージとはだいぶ違う。
 金髪なのにユダヤ人ぽく髪を黒くして、濃い頬髭を生やし、姿勢が庶民ぽい。
 スゴイなと思ったのは、ムント役のペーター・フォン・アイク。
 いかにも元ナチ党員然として、無表情なサディスト役をやっている。
 ルパート・デイヴィスのジョージ・スマイリー役の造形は、髭を生やしていたりして、原作者のイメージとだいぶ違うと思うが、これは映画の観客向けのメイクだろう。
 後にスパイ・マスターとなるジョージ・スマイリーは髭など生やしていない平凡すぎる男だ。
 ウーン、もう一度原作を読み直したくなったなー!
 なお、こういう映画を見ていると、英国流謀略がどうやってなされるのか手口がよくわかるが、これは原作者自身がスパイの世界に身を置いていた人間だからだろう。
 とにかく、何でもあまりきれいに納得出来る話は、信じるなって事だよ。
 難しいがね。
 では。

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