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2016年8月8日 / misotukuri

「ねじれた文字、ねじれた路」読んで頭をねじった度

 「ねじれた文字、ねじれた路」(トム・フランクリン)読了した。
 2011年英国推理作家協会賞最優秀長編賞(CWAゴールド・ダガー賞)受賞作品だ。
 この他にもアンソニー賞、ハメット賞などたくさんの賞を受賞しているが、私は全然評価しない、というのは言い過ぎだが、イマイチと思う。
 まず、一点目。
 ちっとも驚かされることがない。
 ヌママムシが出てくるようなアメリカ南部の田舎町を舞台にしたミステリは、ロバート・R・マキャモン、ディック・ロクティ、ジョー・R・ランズデール等の作品が思い浮かぶが、読んでいて、いずれも、「えっ、こんなアメリカがあったのか!」という驚きがあった。
 小説以外でも、映画やノンフィクションや料理本等でだいぶ知識が増えてきて、さすがに2016年の今、こういうアメリカの南部の風土を描いた作品を読んでもあまり新鮮味が感じられない。
 たぶん、翻訳された2011年頃に読んでいたとしても同じ感想だろう。
 次に、二点目。
 純粋にミステリとして、完全にセオリー違反。
 フーダニット(誰が殺したか?)という点で、怪しかった人物がやっぱり犯人だったというのは、あまりに策がなさ過ぎる。
 良い点は、非常に映画的でビジュアルと思うこと。
 明らかにスティーヴン・キングの影響がもろで、細密画のようなクソリアリズムで情景描写が続いていく。
 ただし、これを退屈と思う読者もいるだろう。
 そんなことより、もっとミステリとしてのプロットを練って欲しかった。
 趣向として面白いのは、銃で撃たれ昏睡状態の変人ラリー(白人)の回想と少年時代に親友だった治安官サイラス(黒人)の回想とが交互に織りなされて、ラリーが疑いをかけられた死体なき少女失踪事件があった25年前の過去が徐々に再現されていくというもの。
 ただそれが、現在の女子大生失踪事件の犯人としてラリーが再び疑われ、マスコミによって州全体で活動するシリアル・レイプ・キラー(連続強姦殺人犯)に祭り上げられていくに及んでは、TVドラマ「LAW&ORDER」や「クリミナル・マインド」など見慣れている者にはいかにもお粗末。
 日本のミステリでもここまでヒドくないだろう。
 しかし、アメリカのディープな田舎の司法制度下では、意外とそういうこともあり得るかも知れない。
 ただ、物語がかなり進行して、読者には唐突にいかにも怪しげな変人ラリーの信奉者みたいな人物が現れて、まさかこれが女子大生失踪事件の犯人だなんて、そんな安易なことはないだろうと思っていたら・・・・なんだよな。
 こんなのは、せいぜい犯罪小説であって、ミステリ失格だと思いきや、最近はそういう作品が増えてきたので、ミステリに対する考えを改めなければならないのかなとも思う。
 それにしても、ミステリも様変わりしたね。
 私はこういう変化にはついていけない。
 真犯人は、やっぱり、意外な人物であって欲しい。
 では。

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