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2016年9月7日 / misotukuri

井上拓真がタパレスに挑戦は冒険か?

年末、井上尚也の弟、拓真がWBOのバンタム級王者マーロン・タパレス(比)に挑戦するみたい。
まだ先の話なのだが、冒険という声が多い。
私も無理だろうと思った。
それはなぜか?
タパレスは大森将平を2RTKOに下し、王座挑戦権を得、赤穂亮を下してWBOバンタム級世界王座に就いたプルンアルン・ソーシンユー(タイ)に挑戦(2016.7.27)し、11R逆転KOで新チャンピオンになったばかり。
タパレスや先日河野公平を下しWBCスーパーフライ級新王者になったルイス・コンセプションやプルンアルンもそうだが、彼らを見ていると、明らかにボクシングが違う。
身体は小さくても、ここぞと言うときには一発一発のパンチを思い切り強く打っている。
先日、和氣愼吾を11RTKOに下しIBF空位スーパー・バンタム級王座を獲得したジョナサン・グスマン(22戦全勝全KO)も、ときおり驚くほど強く打っていた。
井上拓真の偉大な兄尚也も同じで、毎回拳を痛めるほど思い切り強いパンチを打っている。
井上の試合は、何度か動画等で見たが、前回のフローイラン・サルダール戦でもわかるように、タイミングが合えば倒せるパンチは打つが、思い切り強くパンチを打つシーンはついぞなかった。
逆にサルダールの方が、思い切り強いパンチを打っていた。
フローイラン・サルダールは、田中恒成に挑戦したビック・サルダールの兄。
弟の方がボクシングセンスがあるが、共通しているのは、この思い切って打つパンチ。
当たれば相手は倒れるが当たらなければ自分が疲れる両刃の剣的危険なパンチだ。
その右ストレートが1R序盤に炸裂し、井上はひっくり返されたのだが、一瞬、大森将平の二の舞かと思った。
それを逆に2度までダウンを奪い返し、逆転したのはさすがとは思ったが、あそこまでワンサイドになっているのにKOできなかったことは、やっぱりなー、世界チャンピオンではないなと思った。
兄の尚也が右拳と腰の痛みを抱えて本調子でないにもかかわらず、世界一位のペッチバンボーンを10RTKOに下したのとは大違いだった。
兄はここぞという時リミッターを振り切って、ガーッと行くが、弟はあくまで冷静にKOは結果としてついてくるボクシングをする。
麻雀の上がりにたとえると、世界チャンピオンベルトやKOは、役満だな。
狙ってできるものではないが、逆に、狙わないとできないとしたもの。
間違えずに打っていて、運が良ければ、いつかはできるものだと思っていると、ほとんど永久にできない。
そういう考え方をしている限り、世界チャンピオンになるのは難しいと思う。
次に、サイズの問題がある。
タパレスは身長163cm、拓真は160cm。
バンタム級としては、共に背が低い。
タパレスよりもまだ低い。
背が低い者の戦法は、素早い出入りで強打を振るうか、強打のコンビネーション、接近戦くらいのもので、タパレスはそれを心得た戦いをしている。
つまり、総合力ではなく、特化力だ。
だが、一つ下から階級を上げてきた井上には、そういうハンデ意識がなく、総合力で戦っている。
ボクシングは総合力の戦いだというのは、田口良一が宮崎亮に言った言葉だが、それは田口の方が身長が高いからね。
身長やリーチが同じなら、総合力で優劣がある程度予想出来るが、身長やリーチで劣るなら、そのハンデを克服するものを持っていなければならない。
タパレスは背の高い者と戦っているから、その分、一つ一つの得意技に磨きがかかっている。
大森将平など173cmあり、身長差10cmもあるのを打ち終わりを狙った右ロングで痛烈なダウンを奪い、2RKOにしたのだが、これはタパレスが山中慎介(171cm)のスパーリング・パートナーをしている時に会得したものだろう。
山中はスリヤン・ソールンビサイ(161cm)、リボリオ・ソリス(163cm)に苦戦しており、両者とも下の階級の元世界王者で、階級を上げてから、思い切り打つパンチが増えてきた。
これは、身体的なハンデを軽減するためにしていることで、極めて理にかなったモデルチェンジだ。
山中が、もしタパレスと統一戦すれば、勝つとは思うが、やはり思い切って打つパンチに苦戦するだろう。
スーパー・フライ級の井上拓真が一つ上のバンタム級でタパレスに挑戦するのは、まず総合力ではタパレスに劣っていると普通は考えるべき。
従って、井上拓真がタパレスに勝つには、パンチ力、スピード、テクニック、スタミナなど何かで、それだけで勝てるくらい勝っていなければ無理だろう。
タパレスの弱点はボディーみたいだから、ボディーに狙いを定めて、戦術を組み立て、玉砕覚悟でぶつかっていくことだと思う。

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