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2016年12月11日 / misotukuri

映画「ダーク・スター」のHAL爆弾度

 映画「ダーク・スター」(74年、米、ジョン・カーペンター監督、ブライアン・ナレル、ダン・オバノン他)を見た。
 これは、映画「2001年宇宙の旅」(68年、米、スタンリー・キューブリック監督)の「コンピュータHALの反乱」の二番煎じというより、ちょっとひねったらもっと面白い話ができそうだというパロディ感覚が根幹にあるね。
 不安定化惑星の破壊作業をしている宇宙船「ダーク・スター」という設定はよく出来ていると思う。
 不安定化惑星とは、それが存在することで将来的に、と言っても何万年も先のことだが、太陽系全体を不安定化させることになる惑星のこと。
 それにより太陽の超新星化を遅らせ、そこに存在する地球型惑星をして十分に生命をはぐくめる環境に整えてやることができるのだ。
 こういう惑星天文学の知識はこの当時既にあったんだね。
 ナショジオで、そういうシミュレーションを見たことがある。
 ひょっとしたら、我々の太陽系の火星と木星との間の小惑星帯も太古にどこかの宇宙人が「ダーク・スター」号みたいなのでやってきて、将来不安定化するからと破壊してできたのかもしれない。
 このあたりが、いわゆるSFのセンス・オブ・ワンダーというもので、それがこの映画にはあると言うことだ。
 さすが、ジョン・カーペンターとダン・オバノンという感じかな。
 事故死した宇宙船「ダーク・スター」の船長が、冷凍されているのだが、脳だけ生きていて眠ったような状態で保管されているのも、P・K・ディックの「ユービック」みたいで面白い。
 時々、乗組員が判断に迷った時、覚醒され、指示を求められるのだが、これが傑作で、冷凍保存されていると記憶に損傷を受けるとかいう話が「アヴァロンの闇」(ニーヴン&パーネル&バーンズ)を思わせる。
 恐らく、皆、シナリオの下敷きになっているのだろう。
 だが、この不安定化惑星を破壊していくという作業は危険な上、とてつもなく孤独なものなのだ。
 そこでは、コンピュータを含めたクルーは時間が経つにつれ、「2001年宇宙の旅」で起きたようなメンタルな問題を抱えることになる。
 通信タイムラグが何十年もあるような隔絶した環境で、何のためにこんなことをしているのか?
 この孤絶感。(つい、昔の分室暮らしを思い出した。)
 果たして「ダーク・スター」号でもそれが起きる。
 ただし、宇宙船のメイン・コンピュータではなく、コンピュータ付き惑星破壊爆弾なのだ。
 宇宙磁気嵐で宇宙船の通信回路が損傷を受け、「爆発せよ」という誤信号が出るようになったのだ。
 しかも、爆弾を切り離す部分が故障して、このままでは宇宙船も一緒に爆破されてしまう。
 メイン・コンピュータが惑星破壊爆弾に「誤信号による命令だから無視せよ」と説得すると、最初の内は「そうですか」と従ったのが、度重なる爆破命令信号に「もう、これっきりですよ。次からは、あなたの命令には従えません」と命令を実行しようとする。
 この危機を如何にして人間の知恵で乗り越えられるかというのが見もので、出来すぎた映画「オデッセイ」などとは全く違った解決法で迫ることになる。
 美しくも感動的なラストは、レイ・ブラッドベリの短編を思わせる。
 では。

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