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2017年2月3日 / misotukuri

映画「カッコーの巣の上で」の今日的格好度

 昨夜、映画「カッコーの巣の上で(One Flew Over the Cuckoo’s Nest)」(75年、米、ミロス・フォアマン監督、ジャック・ニコルソン、ルイーズ・フレッチャー他)を見た。
 あまりにも有名なので何度も見る機会があったのに、ついつい見逃していたアメリカン・ニュー・シネマの傑作だ。
 ストーリーの紹介は何かで見てくれ。
 原作は、1962年に発表されたケン・キージーのベストセラー小説。
 この小説が書かれた時代は、多分、反共マッカーシズムが吹き荒れた1950年代ではないかな?
 アメリカの戦争の歴史で言えば、1950年から53年が朝鮮戦争、1962年からケネディ政権のベトナム戦争への本格介入が始まるまでの間。
 この間の迫り来る共産主義陣営との核戦争の脅威は現実のものだった。
 また、精神外科によるロボトミー手術全盛の頃でもあった。
 ロボトミー手術の歴史については、次のリンクがよく出来ているので、参照されたい。
 http://timesteps.net/archives/2359253.html
 更に、この映画が発表されたのは、かって副大統領時代に北ベトナムに核攻撃することを提言したニクソン大統領がベトナム撤退を決め、ウォーターゲート事件で辞任した直後のこと。
 アメリカン・ニューシネマというブームは、ヒッピー運動と軌を一にしている60年代後半から70年代半ばにかけてのもので、いろいろ特徴は挙げられるが、共通しているのは、「反権力」じゃないかな?
 「反権力」というのは「反権威」でもあり、支配体制に反抗する姿勢が格好良かった。
 つまり、この映画は、当時は既に否定されていたロボトミー手術の非人道性を題材に、こういうことを押しつけてくる権力に反抗して、こんな体制なんかぶっ壊せと立ち上がる虐げられた人間たちの姿を描いているのだ。
 ところで、この映画の今日性だが、去年はブレグジット(英国のEU離脱)や反エスタブリッシュメント(支配階級)で売ったトランプ・サンダース現象という、昔なら「大衆の反乱」とでも言うべき現象が起きたくらいだから、それは結構あると思う。
 今の4,50代の先鋭的な感覚の大人が教祖になって、10代後半から20代後半までの世代を焚きつけて、「反権力・反権威」のムーブメントを巻き起こすことも可能な政治的時代に入っているからね。
 泥沼化したイスラム世界の混乱を世界史的にどう見るかはともかく、グローバルに分断化現象が起き、再び不安の時代が到来している。
 こういう時代に、去年起きた「津久井やまゆり園」大量刺殺傷害事件なども時代の反映だと言えなくもない。
 事件を起こした人間は自分の意思で動いたと思っているだろうが、そうではなくて、時代の雰囲気に動かされているにすぎないのだ。
 それが良いとか悪いとかいうことではなく、抗うことが難しい流れを感じる中で、それに反抗する人間を英雄視するのだろうと思う。
 では。

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