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2017年3月7日 / misotukuri

映画「誘拐捜査」のニヒル度

 先ほど映画「誘拐捜査」(15年、中国、ディン・シエン監督、アンディ・ラウ、リウ・イエ、ワン・チエンユエン他)を見たが、スゴイね。
 何か黒澤明の「天国と地獄」を思い出したよ。
 黒澤ほどの貧者が富者に抱くルサンチマンは感じられないのだが、逆に誘拐主犯の虚無主義には中国の犯罪者の酷薄無常な心情が如実に出ているようで、なるほどこういうことかとうなづかされた。
 中国は1年間に1000人を超える死刑執行があると言うが、それは14億人もいる巨大国家を統治するためには、厳罰主義で臨むしかないということもあるのだろうと思うが、一方、犯罪者にすれば、警察に捕まったらもう死んだも同然という状況の中で、必要以上に酷薄なことをするようになるのだろうと思う。
 この誘拐主犯のキャラクターは、いわゆるサイコではない。
 どちらかというと、「天国と地獄」の山崎努演じる誘拐犯人のキャラに近い。
 引き返せない一線を超えて、強がっているだけだろう。
 いくら冷酷なことを平然と犯しても、それは感情の奔流を意志の力で遮断しているだけ。
 一体彼はせしめた巨額の身代金を本当は何に使うつもりだったのか?
 それが説明のつかない謎だ。
 誘拐された香港スター役のアンディ・ラウと誘拐主犯役のワン・チエンユエンの好演が光る傑作だ。
 では。

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