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2021年1月1日 / misotukuri

謹賀新年2021

 今年もよろしく  令和3年元旦

 去年は、12月に体調が明らかに悪くなり、3日に徳大病院に行ったところ、即入院、7日にシャント形成手術、11日に初透析をし、私も晴れて事実上1級身体障害者となった。
 驚いたことには、透析を始めると、身体の色々な不調が嘘のように消え去り、楽になったことだ。
 食欲も一時は母みたいに摂食障害で死ぬのではないかと思ったくらい全然食べられなかったのだが、今やお腹が空いて空いてついつい食べ過ぎるくらいにまで回復した。
 しかし、一日おきに透析をしないとお陀仏になるのは確かだから、危うい状況にあるのには変わりない。
 まあ、これで一回死んだようなもので、5年先の生存率は50%というから、これからの人生はおまけみたいなものと観念した。
 なお、年賀状は今年も沢山いただいたが、去年こっきりで止めたので欠礼する。
 別にしたいこともできることも大してないので、これからはできるだけ積ん読本を読破することに力を注ごうと思う。

 さて、例によって去年読んだ本ベスト3だ。
 去年はSFの長編を全然読んでいないことに気がついた。
 100年に一度という新型コロナ・パンデミックというSFの破滅テーマ作品で見るような事態が発生し、それに対するワクチンは思いの外早く各種できたが、ウィルスは変異し、また新たな感染拡大の様相を示し始め、今なお終息は見通せない状況だ。
 こういうときにSFは、やはり絵空事の感は否めない。
 SFでは、「時間SF傑作選ここがウィネトカなら君はジュディ」の短編集の12本と幾つかだけだ。
 これらについては、SFにおける時間の扱いについて俯瞰する意味で成果があったと思う。
 しかし、あくまで短編なので、今年はSF以外の本でベスト3を組んでみた。

1 「救急精神病棟」(野村進)
 認知症、統合失調症、うつ病などが身近になり、誰もが精神病になるリスクがある。
 また、精神病ではないが、自己愛性やパニックなどの人格障害が表面化する人も多くなっているように思う。
 救急精神病棟は、統合失調症(精神分裂病)とうつ病の救急患者を扱うが、上記の病気や障害が複雑に絡み合っているのが現実だ。
 この本は、多くの患者例や医師の所見などが含まれており、関心のある人には、大いに参考になると思う。

2「毒舌日本史」(今東光)
 私でもやはり世代が著者とは違うので、漢字や人名を調べながら読んだ。
 ポリティカル・コレクトネス(政治的に正しいとされる言い回し)の偽善に慣れた人なら、焚書絶版にしたいだろう本だが、あいにく、私はこのような禁書の類いが大好きなのだ。
 日本史をしっかり勉強したい人間には、格好の本だと思う。

3「特捜部Qカルテ番号64」(ユッシ・エーズラ・オールスン)
 やはり、特捜部Qシリーズから一つと思い、悩んだが、社会性という観点から、これにした。
 これを読めば社会主義と優生思想の親和性を思い知るだろう。
 ハーバート・スペンサーの優生思想というのは、根強く今も息づいている。
 ナチス・ドイツの「ユダヤ人問題の最終的解決」など、その暴走にだけ目が行くが、生存競争というのが全生物の性である以上、決して否定できるものではない。
 この本は、優生思想の被害にあったある女性の復讐物語であるのだが、単なるミステリを超えた告発の書でもある。
 以上。