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2018年1月15日 / misotukuri

「人類と気候の10万年史」読了で思うこと

 昨日、「人類と気候の10万年史」(中川毅著、講談社ブルーバックス)読了した。
 この本で今年の読書のスタートを切れたのは本当にうれしい。
 これはホント名著だ。
 是非とも全世界の多くの人々にこの本を読んでもらいたいと思う。
 そもそもYahoo!のポイントの使い途に困って、本でも買おうかと思い、手ごろな本を探していたら、およそ下らない本ばかりの中で、唯一、光っていたのがこの本だった。
 新刊本など滅多に買わないのだが、書店で見かけていたら、正直買っていたかどうか疑問だが、よくぞ買ったものだと思う。
 そういう奇遇を大事にしたいと思い、最優先で読み始めた。
 実に素晴らしい本だ。
 この本を読めば、地球温暖化人為的CO2原因説など、それが合ってる合ってないは、タイムスパンを10万年くらいまで伸ばせば、問題じゃないということが、わかるだろう。
 この本は、地球の気候はもっと深刻な想像を絶するフェーズに突入し始めているのではないかという人類に警鐘を鳴らす本だ。
 これは古気候学の本ではあるが、文明の興亡を含む人類の歴史や現在の人類が抱える解決困難な諸問題、中でも地球環境問題や人口問題などに興味のある人間には面白いだろう。
 特に、巷に溢れる啓発本に「それがどうした」とうんざりしていた私には、この本は一つの明確な答えを用意してくれている点で、他にない新鮮味を感じた。
 結論的に言えば、地球は寒冷化に向かうサイクルに入っているが、800年前頃から自然のサイクルとは明らかに違う温暖化が進行している。
 これが人間活動によるCO2増加に原因があるかどうかはともかく、仮にそうだとして、それの進行を抑止するべきかどうかだが、古気候学で明らかになったここ10万年の気候変動が人類にもたらしたことを考えると、一概にそうは言えないということらしい。
 例えば、今の地球温暖化の進行を人類の知恵を結集して防止できたとする。
 すると、温暖化の進行が止まった地球の気候は、自然のサイクルどおりになるので、急速に寒冷化するはず。
 だが、寒冷化した地球で、やがてまもなく100億人を突破する地球上の全人口を養えるだけの食糧が確保できるだろうか?
 地球が最後の氷河期を脱して温暖化し始めた1万3000年前からの人類の歴史を見る限り、多分それは無理と言うことがわかる。
 寒冷な気候が続くと、確実に農業は壊滅するだろうからだ。
 人口は、1000万人くらいにまで再び少なくなり、人類は氷河期の狩猟生活に戻らざるを得ない。
 それでも、地球温暖化を防止することが本当に良いことなのだろうか?
 氷が溶けてセイウチを捕食出来なくなったホッキョクグマがやせ細って死んで行く姿を見せて地球温暖化を阻止しようというセンチメンタルなプロパガンダCMを誰しも一度は見たことがあるだろう。
 ホッキョクグマに食べられずに済むセイウチのことは心配せず、極地の寒冷な環境に過剰適応したため、環境の変化に対応できなくなったホッキョクグマのことを心配してあげるこの得手勝手な偽善性。
 何でもかんでもサステナビリティ(持続可能性)が大事ってものでもない。
 温暖化で餓死するホッキョクグマのことは、環境の激変に対応できる余地を残しておくことが種の存続のためには必要な保険だという教訓として捉えるべきだ。
 では、今度は、寒冷化に向かっている自然のサイクルに反し、今のまま人為的温暖化を続ければどうなるか?
 これは国連が散々宣伝しているとおりだが、仮に平均気温が今より摂氏で数度上昇し、南極の氷が全部溶けて、海水面が何十メートルも上昇し、巨大台風、巨大竜巻が頻繁に発生し、・・・ということになるが、こういう異常気象ばかりのバランスの崩れてしまった地球環境では人間は今の文明社会生活を維持することはできない。
 ということは、地球人口が減少し、結果として人為的温暖化にはやがて寄与しなくなる。
 映画「デイ・アフター・トゥモロー」(04年、米、ローランド・エメリッヒ監督)のように、温暖化の進行する最中のある日、大西洋子午線逆転循環が崩れ、突然一気に氷河期が来るということもあるかもしれない。(あの映画も主役は、古気候学者だったが。)
 気候のパターンが変わる時というのは、その前触れのようなものがあるそうで、それが現在頻繁に見られるようになった何十年に一度のとか観測史上初めてのとかいう異常気象がそれなのかも知れない。
 しかも、この気候が変わる時というのは、ある日突然、氷河期が終わったというように、まるで相転移のように急激なのだ。
 いずれにしても、今は温暖で安定した気候の第四間氷期の折り返し点を過ぎ、一路、次の氷期に向かっているのだが、次の変化は寒冷化であることは確かだろう。
 ただ、それが単純にそうはいかない場合もある。
 寒冷化と温暖化が不規則に大きく繰り返される不安定期が何千年も続くかもしれないのだ。
 そうなると、予測が立たない気候では農耕は成り立たないから、1万3000年続いた今の農耕文化は終わりを告げ、当然、人口は全世界で1000万人くらいにまで減少し、狩猟採取文化の時代がやって来るかも知れない。
 このように、今の温暖化を防止しても放置しても、温暖化はやがて終わり、寒冷化して、人口は急減する。
 なら、どっちでもいいじゃないか、と投げやりな気になる。
 しかし、ここまで高度に発達した人類の文明を以てこの難題に立ち向かえば、破局を避ける別の解がもっと他にも見つかるはずだ。
 例えばだが、いくつか思いついたのを挙げると、
 1 温暖化を適度にコントロールする
  ・・・直感的に無理と思うが、現在はこういうことをやろうとしているのではないか。
 2 宇宙植民(スペース・コロニー)建設を促進する
  ・・・地球環境が人類の生存に適さなくなれば必然的にそうなる。
 3 人間をソフトウェア化する
  ・・・人間を生物的限界から解き放つことになり、人間観の拡張が必要。
 4 遺伝子操作で人間の環境耐性を向上させる
  ・・・既に自然生殖で生まれた人間は淘汰される。
  5 ノアの箱船計画を実施する
  ・・・地中に巨大なサイロを幾つも作るというSFがあるが、超長期避難は無理。
 6 その他
  ・・・食糧を増産すればその分人口も増えるといった具合に、真の解決にならないものばかりだ。
 こういうことを考えていると、生命には進化するために種としての絶滅がプログラムして組み込まれているような気がしてならない。
 そういう人類の未来の悲観的な暗い感慨に浸るよりも、人間としては、今、どうやって生きていくかが問題だと思う。
 大学時代の友人N君が、県から借りた150㎡の畑を鍬1本で21年間耕して、今では白菜名人と言われるまでになったということを年賀状に書いてきたが、素晴らしいことだ。
 多分、在職中から、何か思うところがあったのだろう。
 私のような田舎暮らしの人間ならともかく、都会の消費生活にすっぽり埋まった人間には、なかなかできることではない。
 それが何の足しになるかは問うまい。
 何にせよ、そういう心の余裕を持ち続けられる人間でありたいものだ。

2018年1月13日 / misotukuri

映画「プールサイド・デイズ」のひと夏の経験度

 昨夜、映画「プールサイド・デイズ」(13年、米、ナット・ファクソン、ジム・ラッシュ監督、リーアム・ジェイムズ、サム・ロックウェル他)を見た。
 <冴えない内気な14才の少年が、母親の新しい恋人とウォーターランドで過ごしたひと夏を描いた青春ドラマ。・・・>
 よくある成長ドラマで、大した話でもないのだが、少年のアルバイト先のプールの経営者(サム・ロックウェル)の親父キャラが秀逸。
 まあ、暗い眼をして世の中の不幸を一身に背負い込んだような悩める思春期の少年への応援歌みたいなものだな、こりゃ。
 はたから見れば、みんな幸せそうに見えても、実際はそうでもないんだよ。
 少年を優しく導くプールの経営者にしても、いい歳して冗談ばかり言って皆を笑わせ煙に巻いてはいても、心憎からず想っている相手に一歩踏み出せないでいたりする。
 このアメリカ版「大人はわかってくれない」は、結末は一見明るいんだけど、オバマ時代の行きすぎたポリティカル・コレクトネスの蔓延したアメリカが抱えていた「いやなことがあると大人は蓋をして見ようとしない」自己保身の欺瞞性がよくわかるね。
 このセリフは、再婚相手(恋人)に浮気された母親が自分を批判する息子の少年に真実に立ち向かう勇気のなさを自嘲して言った言葉だが、自分が傷つくことを恐れ、何事も建前だけのきれい事で済まそうとする心理を言ったものに聞こえた。
 それも平気で何でもズケズケ言うトランプの登場で本音が復権したかに思えたが、こんどはセクハラだ。
 ハリウッドは民主党の地盤だからね。まだまだ、ポリティカル・コレクトネスだろう。
 カトリーヌ・ドヌーヴが、アメリカの映画界で起きているセクハラ騒動に、「いいかげんにおよし」と言ったそうだが、うかうか調子に乗って「そうだ、そうだ、そのとおり。いったい何様と思ってるんだ」などと言えば、足元をすくわれる恐れがある。
 しかし、そういうことはあるにしても、バランスの取れた考え方のできる人間でありたいと想う。
 この映画は、崩壊した家庭に居場所の無かった少年は、プール場でアルバイトをしているうちに一皮剥けて成長していくのだが、経営者に「ここにしか居場所がないんだよ。ずっとここにいさせて」と訴えると、「君には未来がある」と言われる。
 ようするに、もう君は人生の厳しい現実に勇気を持って立ち向かって行けるよ、負け犬のオレたちのような仲間といつまでもつるむんじゃない、ということなんだろう。
 少年はプール経営者に成長させられたが、プール経営者もまた少年に成長させられた。
 そして、母親もひと夏でずいぶん成長した息子の姿を目にし、自らも人間として成長していかねばと決意したというお話。
 よく出来ていると思うよ。この映画。必見だな。DVDに録画しておこうかと思う。
 では。

2018年1月1日 / misotukuri

謹賀新年(2018年・平成30年)

謹賀新年 今年もよろしくお願いします。
 
 普段は、占いなどまったく信じない私ですが、去年はあまりにヒドイ年だったので、何故かなと思って、つい細木数子の六星占術をやってみました。
 それによると、大殺界の入り口「陰影」で、当たってました!恐いくらいに。
 それで、今年(2018年)はどうかと、見てみると、「停止」で大殺界のど真ん中。
 おとなしく謹慎しているのがベターで、感情的な言動は止めておいた方が良いとのこと。
 確かに、去年は7月に肺炎で入院し、私も年だなと感じたものでした。
 退院後、問題行動が見られるようになった認知症の老父母をやむを得ず施設や病院に入所入院させました。
 自分もいつか行く道と覚悟しつつ、正直これで少しは静穏になるかと安堵したのもつかの間、なかなかそうはなりません。
 めでたい事など何もない新年を地味に迎えているところです。

 という訳で本はほとんど読めていないのですが、一応、去年読んだ本のベスト3を挙げてみました。

 1 「大鴉の啼く冬」  アン・クリーヴス
 2 「影武者徳川家康」 隆慶一郎
 3 「ほんとうの憲法」 篠田英朗
 
 1の「大鴉の啼く冬」は、21世紀初頭を代表するミステリの傑作。
 新年を迎える英国シェトランド島で本土から転校してきた美少女が雪原の中で殺される。
 自作のフーダニット(whodunit)三原則を駆使し犯人当てに挑戦したが、ラスト直前に、登場人物の驚愕の一言で見事外したことを悟りました。

 2の「影武者徳川家康」は、家康替え玉説に基づく歴史時代小説。
 正しくこれを「読まずに死ねるか」の素晴らしい大傑作。
 家康嫌いだった歴史人物観や色々な観念がすっかり変わりました。

 3の「ほんとうの憲法」は、日本で絶対的な影響力を持つ東大法学部憲法学批判の本で、大方の人にはコペルニクス的転回の衝撃だろう。
 天皇機関説をめぐる密教と顕教の関係が日本国憲法でも見られるという指摘は面白い。
 これで私は憲法改正不要論者に鞍替えしました。

 以上は、ほとんど年賀状バージョンで、以下を含むものがネット版の年賀状。
 (文体も変わる。)

 映画も毎年年間120本を見ることを目標にしていたが、去年は103本で精一杯だった。
 その中で、ベスト3は、次のとおり。

 1 「ゴッド・ヘルプ・ザ・ガール」(14年、英、スチュアート・マードック監督、エミリー・ブラウニング他)
 2 「フェンス」(16年、米、デンゼル・ワシントン監督、デンゼル・ワシントン他)
 3 「セルフレス 覚醒した記憶」(15年、米、ターセム・シン監督、ライアン・レイノルズ他)

 1の「ゴッド・ヘルプ・ザ・ガール」は、まあ、青春ミュージカルではあるのだけど、カーペンターズの往年のヒット曲「スーパースター」を思い出したのだ。
 これは「私の心の中を駆け抜けていったエキセントリックなあの子が今をときめくスターになっている・・・」という映画で、そういうセンチメンタルな面もあるが、「視点の転換」を映画で表現するにはどうすれば良いのかという点で興味深かったからだ。
 この映画では、「あの子」が主役の一人称映画かと思っていたら、ラストのエンディングの歌で主役だったはずの「あの子」が対象化されるのだ。
 安直なやり方だが、これがなかなか成功している。
 「視点の転換」の映画的表現で面白かったのは、「シャドウ・チェイサー」(16年、露、オレグ・アサドゥリン監督)。
 ベスト3に入れなかったが、これは実に面白い方法で、こういうやり方は初めて見た。
 客観描写が主観描写に切り替わり、再び客観描写に戻るのだ。
 客観描写で入るとこれしかないな。
 
 2の「フェンス」は、黒人差別の話かと思ったら、それだけではなかった。
 いつの時代、どこの世界にもある親子の断絶の話だ。
 ただそうは言うものの、よく描かれている。
 何となくセリフが舞台劇みたいだと思ったら、原作はブロードウェイでヒットした舞台劇だったんだね。

 3の「セルフレス 覚醒した記憶」は、不死とか永遠の命をテーマとするSF。
 不死や永遠の命は人間の夢だが、昔と違って、原理的に可能という認識はかなり高まったと思う。
 その場合、自分あるいは自己というものの定義がなんであるかということが問題だが、これもだいぶ煮詰まってきた。
 結論的に言えば、幻想だ。
 われわれは日常的な連続感の中で生きている。
 ただ単に、朝起きて昨日までの私と今日の私は同じ私であるというこの連続感がある限り不死だと言うことだ。
 それ以上でも以下でもない。
 そこで「私」という存在を定義しているものは何だろうと考えると、「記憶」、「人格」、「知能」、「肉体」、「知識」等いろいろあるが、要するにそういう要素を総合したものなのだが、その中でも最もエッセンシャルなものは何かと言うと、「記憶」だ。
 「記憶」は他の要素を包含しているし、他のものがあっても、「記憶」が破壊されると、「私」もまた破壊される。
 ということは、他人の脳に自分の「記憶」を上書きすることができれば、永遠に生き続けることも可能になる。
 この映画はそういうことを前提としたお話だ。
 余命幾ばくもない大金持ちが脳死した健康な肉体に自分の「記憶」を上書きすることによって、第二のまったく新しい人生を生きられるという、昔のジョン・フランケンハイマー監督の「セコンド アーサー・ハミルトンからトニー・ウィルソンへの転進」を思わせる映画。
 もちろん、そうはうまく行かない。
 そうしなければ、映画にならないからね。

 
 
  

2017年12月22日 / misotukuri

田口良一VSミラン・メリンド統一戦他を予想する(結果付き)

前回に引き続き、大晦日ボクシング、トリプル世界戦の予想もやっておこう。
1 WBA&IBF世界ライトフライ級王座統一戦
  田口良一VSミラン・メリンド
2 WBO世界フライ級タイトルマッチ
  木村翔VS五十嵐俊幸
3 IBF世界ミニマム級タイトルマッチ
  京口紘人VSカルロス・ブイトラゴ

1 WBA&IBF世界ライトフライ級王座統一戦 田口良一VSミラン・メリンド
 これが、一番面白いだろうな。
 何と言っても、WBAとIBFの王座統一戦だからね。
 WBAの王者の田口良一はもうWBAの王座を6度防衛し、今度仮にIBFの王者メリン・ミランドを倒せば、WBAの王座はV7でIBFの王座も奪うこととなるから、多分、スーパー王者の称号を得ることになるだろう。
 井上尚弥に判定負けしたツヨカワイイ男が、まさかここまで出世するとは。スゴイね。
 前回のロベルト・バレラ戦では、田口のいいところばかりが出て完勝できたが、さて、今度のミラン・メリンド戦ではどうだろうか。
 ミラン・メリンドは、前々回、正規王者の八重樫東を衝撃の初回TKOで下し、暫定が取れて正規王者になったが、あれには本当に驚いた。
 小柄な八重樫よりもさらに一回り小柄なメリンドがあんな勝ち方をするとは、これまた想像もつかない展開だった。
 こんなことを言うのも、田口は八重樫よりさらに背が高いからだ。
 田口とミランドでは、身長差が10cm以上ある。このクラスで10cmの差は大きいよ。
 グダグダ言わずに、データを比較してみよう。
 田:31才、右、身長167cm、リーチ172cm、30戦26勝(12KO)2敗2分け、KO率46%
 メ:29才、右、身長157cm、リーチ162cm、39戦37勝(13KO)2敗、KO率33%
 これを見て、私が思うのは、メリンドはこういう田口相手にどんな戦い方をするんだろう?ということだ。
 参考までにメリンドが負けた相手を見てみよう。
 初の敗戦はフライ級で、当時WBAフライ級スーパー王者&WBOフライ級王者だったファン・フランシスコ・エストラーダに0-3の判定で敗れたもので、次の敗戦は、当時IBFライトフライ級王者だったハビエル・メンドーサに6回負傷判定(0-3)で敗れた。
 いずれも、大差の判定で、八重樫戦の時に動画を見直したところ、やっぱり、体格差は如何ともしがたい感じだった。
 メリンドはミニマム級なら最強と思うが、フライ級では小さすぎるし、ライトフライ級でもやはり小さい。
 八重樫に勝てたのも、八重樫に問題があったからと思うのだ。
 メリンドの体格は、カルロス・カニサレスや宮崎亮とほぼ同じで、田口は、カニサレスには消極的な戦いぶりで苦労したが、宮崎には積極的に攻めて完勝した。
 田口が、ロベルト・バレラ戦で見せたような接近して積極的に打ちまくるファイトを見せれば、体格差でメリンドに勝ち目はない。
 田口がカニサレス戦の時のように相手を見てしまってスロー・スタートすると、ペースをなかなかつかめず苦労するだろうが、最後はやはり体格差でメリンドを押し切るだろう。
 試合の展開の鍵は田口が握っていて、メリンドにはないと思う。
 八重樫戦で見せた奇襲だけが、メリンドで気をつけるべき所だろう。
 しかし、田口は井上尚弥のハードパンチに耐えたからなあ、見かけによらず打たれ強い。
 ズバリ、田口の後半KO勝ちだろう。

<結果速報2017.12.31>
 田口の3-0(116-112,117-111✕2)判定勝ちでWBA王座のV7に成功すると共に、WBA&IBF世界ライトフライ級統一王者となった。
 私の採点でも、ミランドが取ったのは、1,5,9Rだけで、あとは全て田口の117-111。
 ミランドは八重樫とやった時より一回り身体が大きくなっていたが、その分動きが悪くなっていたようだ。
 田口はなかなか崩しにくいチャンピオンだ。
 WBOのアンヘル・アコスタ、WBCの拳四朗のどちらも田口とはやらないだろうから、このあとどうするんだろうね。
 オレとしては、久田哲也とやって欲しい。彼のファンだから。正直、久田には厳しいだろうが。

2 WBO世界フライ級タイトルマッチ 木村翔VS五十嵐俊幸
 まずは、データ比較から。
 木:29才、右、身長165cm、18戦15勝(8KO)1敗(1KO)2分け、KO率44%
 五:33才、左、身長166cm、リーチ169cm、25戦21勝(11KO)2敗2分け、KO率43%
 まあ、データ的には五分だね。
 木村は今年7月に敵地上海で北京・ロンドン五輪2連覇の英雄、鄒市明(ゾウ・シミン)をまさかの11RTKOに下して王座奪取し、一躍、世界に名を轟かせたが、初防衛戦で早くも難敵の挑戦を受けることになった。
 五十嵐は八重樫に敗れてWBCフライ級王座を陥落したあと、4年8ヶ月でようやく再び王座に挑戦する機会を得たが、恐らく、これで負ければ、引退だろう。
 五十嵐も元オリンピアンで、アテネ組(1回戦敗退)だが、金メダリストの鄒市明よりもプロのリングでは強いんじゃないかと思う。
 とは言うものの、最近は負傷判定が多いね。
 八重樫に負けてから5連勝だが、その内、負傷判定が3つ。
 一回一回の負傷について誰が悪いかはともかく、これだけ負傷判定が多いというのは、やはり五十嵐のファイトスタイルに問題があるからだろう。
 サウスポーだからというのもあるが、打ち気にはやって右膝よりも頭が前に出ているのではないか?
 王者の木村はデビュー戦でKO負けしてから後は一度も負けておらず、しかも最近はほとんどKOで勝ち続けている。
 勢いは木村にあるが、二人のファイトスタイルから、バッティングが必至みたいな気がしないでもない。
 もし、バッティングが起きたら、負傷慣れしている(!)五十嵐に分があるだろう。
 細かい技術論をしても仕方がない。
 木村が勝つなら終盤KOで、五十嵐が勝つなら中盤負傷判定でだろう。
 ズバリ、木村の勢いを買って、木村の11RKOと見た。

 <結果速報2017.12.31>
 木村翔の9RTKO。1R以外は、ほぼフルマーク。やっぱり、勢いが違うね。
 重くて多彩なパンチが五十嵐の気持ちをへし折った。
 これは、ホンモノだな。

3 IBF世界ミニマム級タイトルマッチ 京口紘人VSカルロス・ブイトラゴ
 カルロス・ブイトラゴは、元世界王者を地域タイトル戦で破ったり、なかなかの実力者であることは確かだが、世界王座にあと一歩届かないボクサー。
 これまでにWBOの暫定王座決定戦に勝つも後にノンタイトル戦とされる不運となったのを皮切りに正規王座には3回挑戦して1引き分け2敗と獲得ならず、これで5度目の挑戦となる。
 両者のデータ比較だが、京口が少なすぎるので、あまり比較にならないが一応しておこう。
 京:24才、右、身長161cm、リーチ162cm、8戦8勝(6KO)、KO率75%
 ブ:26才、右、身長164cm、リーチ165m、34戦30勝(17KO)2敗1分け1無効試合、KO率50%
 ブイトラゴは、まだ26才なんだね。
 2敗はいずれもWBA王者ノックアウト・CP・フレッシュマートにタイトル戦で喫したもの。
 ノックアウト・CP・フレッシュマートは、顔の位置をダッキングなどで絶えず動かしているので、ヘッドハンターには崩しにくいのかも。
 動画を見たが、ノックアウト・CP・フレッシュマートは、名前とは大違いで、ノックアウト・パンチャーではないが、これに勝つのは、特にタイでは難しいね。
 ブイトラゴとしては、京口となら噛み合うかもしれないね。
 パワーで押し切れれば京口の勝ちだが、テクニック合戦になればキャリアのあるブイトラゴ。
 ズバリ、判定でブイトラゴとしておこう。
<結果速報2017.12.31>
 京口の打ちまくっての圧勝で8RTKO?でV1成功。
 京口、これもホンモノだね。
 

 
 
 
 

 

2017年12月18日 / misotukuri

井上尚弥VSヨアン・ボワイヨ他を予想する(結果付き)

あまり気が乗らないが、そろそろ日も迫ってきたので、12月30日のボクシング・ダブル世界戦を予想してみよう。
1 WBO世界スーパーフライ級タイトルマッチ
 井上尚弥VSヨアン・ボワイヨ
2 WBC世界ライトフライ級タイトルマッチ
 拳四朗VSヒルベルト・ペドロサ
共に楽勝ムードで、たぶん、そのとおりだろうと思うが、まあ、どこが見所かだな。
1の井上尚弥VSヨアン・ボワイヨは、井上のV7戦になる。
井上は、強すぎて他団体王者から敬遠され、スーパーフライ級の王座統一路線を断念し、今後は1階級上げてバンタム級で三階級制覇を目指すそうだ。
スーパーフライ級ではこれが最後の試合となる。
その相手、ヨアン・ボワイヨ(Yoan Boyeaux、仏)だが、戦績が46戦41勝(26KO)4敗KO率57%というかなりのベテラン・ボクサー。
オーソドックスで、身長、リーチ共に不明だが、多分、井上より5cmくらい背が高そうだ。
初めて負けた相手が、あのカール・フランプトン(前WBAフェザー級スーパー世界王者)というのは、スゴイのかどうかよくわからん。
共にデビュー3戦目と4戦目の頃の対戦で判定負けしている。
彼の動画は2試合見たが、退屈なものだった。
目立ったのは、ガードがアゴの両側にピタッとくっつける感じで、グラス・ジョーなのかも。
バンタム・ウエイトが適正みたいだが、スーパーフライ級で自分の身長を生かしたボクシングをしている。
バンタムでは自分と同じくらいの身長のあるボクサーが多く、アゴとボディだけ守ってればいいという防御では通用しないだろう。
常に格下と試合しているせいか、ボクサー・ファイターというより、ファイター・ボクサーって感じで、結構前に出て攻め込んで行くタイプだ。
スピードも結構あり、手数も多く、手打ちだが、コンビネーションが打てるので、2発目3発目を気に掛けておかないと、妙な角度から被弾することになる。
だけどまあ、所詮は国内王者レベルだね。
井上としては、前回の相手(アントニオ・ニエベス)もバンタム級で戦っているボクサーだったので、やっぱり、バンタム級を視野においてのテストマッチみたいなものだろう。
ニエベスよりも背が高い分やりにくいかもしれないが、今回もまたKOが期待されるのは、当然だろうな。
ズバリ、井上の左ボディーブローで7RKO勝ち。
次は、2 拳四朗VSヒルベルト・ペドロサだが、拳四朗のV2戦になる。
拳四朗については、顔が少年みたいなせいか、いつも過小評価して、ことごとく予想を外してきたが、今回は間違いなく勝てるだろう。
ヒルベルト・ペドロサ(Gilberto Pedroza Domico、パナマ)だが、一番最近負けている相手が、ロベルト・バレラ(Robert Barrera)で、5RTKO負け。
このバレラは、対抗王者のWBA王者の田口良一に前回の防衛戦で9RTKOで完敗している。
バレラは、非常にいい選手だったが、あらゆる面で田口が上回っていた。8KO)
バレラと拳四朗だと、どうしても拳四朗を過小評価してしまう私としてはバレラの方が強いのではないかと思ってしまう。
まあ、それはともかく、ヒルベルト・ペドロサだが、あまりにも小さいね。
データを見てみると、身長は153cmで、164cmの拳四朗より11cmも低い。
ミニマム級だな、これは。
レオ・ガメスみたいに身長152.5cmの四階級制覇の名選手もいたが、パンチ力が違うね。
ヒルベルト・ペドロサは、23戦18勝(8KO)3敗(1KO)2分け、KO率35%。
拳四朗は、11戦11勝(5KO)、KO率45%なので、両者とも貧打だが、体格差の分だけ拳四朗にKOのチャンスがあるだろう。
問題は、どういう試合運びをしてKOするかだな。
ズバリ、でもないが、拳四朗の10RTKO勝ちだろう。KOしてくれよな。
<2017.12.30結果速報>
2 拳四朗VSヒルベルト・ペドロサ
拳四朗の4RTKOでV2成功。
フルマークの完勝。詰めが鋭かった。
右フックから、連打、右ストレートでロープに飛ばし、左ボディ、右フックで1回目のダウン、2回目も左右フックの連打でダウン、レフェリーがストップした。
やっぱり、可愛い顔にだまされてしまう。強いな。
3 OPBF東洋太平洋フェザー級タイトルマッチ、清水聡VSエドワード・マンシト
予想はしなかったが、ロンドン五輪銀メダリスト清水聡V1防衛戦だったが、7RTKO。
5戦5勝5KOパーフェクトは続いているが、ちょっとスタミナに不安があるのでは。
5R打ち疲れで動きが鈍くなった。そんなラウンドじゃないだろ。
1 井上尚弥VSヨアン・ボワイヨ
3RTKOで井上のV7成功。
強すぎる。
バンタム級でも行けるよ。

2017年12月13日 / misotukuri

映画「シャドウ・チェイサー」のロシアン・ホラー度

 昨夜、映画「シャドウ・チェイサー」(16年、露、オレグ・アサドゥリン監督、パーベル・チナリョフ、サヴェトラーナ・ウスティノーヴァ他)を見た。
 ロシアン・ホラーだが、ソ連時代とは打って変わって、エンタメ度の高いものに仕上がっている。
 夫の浮気が原因で崩壊寸前の夫婦関係を何とか修復しようと二人だけの旅行に行こうとしている夫婦。
 買ったばかりの中古車で、幼い一人娘を夫の母親の家に預けるために向かっていたのだが、実はこの車、嫉妬深い夫が妻を殺してバラバラに刻んで運んだといういわく付きの車。
 走るにつれて、異常な事件が頻発し、こじれた夫婦仲はなぜか次第に・・・というお話。
 夜のシーンがほとんどで、何故か、「ツインピークス」のローラ・パーマーのお父さん役で一躍有名になったレイ・ワイズ主演のホラー映画「-Lesse [レス]」を思い出した。
 これも真っ暗闇の真夜中を一家を乗せた車で起きる怪奇現象の話。
 だから、「シャドウ・チェイサー」も最初はどうせハリウッド流エンタメ・ホラーだから、こういう話かと思っていた。
 ネタバレなので詳しく書けないが、ガソリン・スタンドのドラッグストアで夫が美人の店員とイチャイチャ駄弁ってるのに業を煮やした妻が嫌みを言いに車を出て、帰ってきたら娘の姿が見えなくなっていたというシーンで、てっきり、と思ったのだ。
 「-Lesse [レス]」もストーリー自体の衝撃度が強くて良かったが、「シャドウ・チェイサー」の方が狂気に陥っていく人間が描かれていて、私はこちらの方がより好みだな。
 ホラーというのは、主人公が不安定な精神の持ち主でなければ、単なる見世物のお化け屋敷の話みたいで、まるで怖くない。
 シャーリイ・ジャクスンの「山荘奇談」の主人公の寄る辺のない孤独(それはまさにシャーリイ・ジャクスン本人そのものの身の上に思えるのだが)を理解しないホラーは見世物(ショー)でしかない。
 見世物でも、「ロッキー・ホラー・ショー」のようなパロディの傑作もある。
 ただし、怖くない。
 それはそれでいいのだが。
 では。

2017年12月9日 / misotukuri

尾川堅一VSテビン・ファーマーを予想する(結果付き)

明日に迫ったIBFスーパー・フェザー級世界王座決定戦、尾川堅一(4位)VSテビン・ファーマー(Tevin Farmer 5位)だが、遅まきながら予想してみよう。
まずは両者のデータ比較から。
尾川:29才、右、身長173cm、リーチ不明、23戦22勝(17KO)1敗(1KO)、KO率74%
ファ:27才、左、身長168cm、リーチ170cm、30戦25勝(5KO)4敗(2KO)1分け、KO率17%
これだけ見ると、問題なく尾川が勝ちそうだが、さてどうか。
試合会場は、アメリカのラスベガスはマンダレイホテル&カジノセンター・イベント・ホールという超一流の場で、地の利は尾川にはない。
次は、両者のファイトスタイルだが、尾川がオーソドックスでファーマーがサウスポーで、共にボクサー・ファイターだが、尾川がストレート中心に直線的に前に出るスタイルに対し、ファーマーは基本的には下がりながら左フックを強振するスタイル。
尾川はアグレッシブなのは良いが、攻めが単調なので的中率が悪いが、当たればKOできるパンチ力はある。
ファーマーは、出てこない相手には積極的にコンビネーションで攻めるが、少し攻められると、下がりながら打つスタイルに変わる。
ファーマーが積極的に出てくる時は、まるでパンチ力のないギジェルモ・リゴンドウ(現WBAスーパーバンタム級スーパー王者)みたいで、再三クリーン・ヒットしても相手は倒れない。
よく見ると、ギジェルモ・リゴンドウと違い、テレフォン・パンチで、左フックや左ストレートが来る時は予測できるので、当てられてもそれ程こたえないのだろう。
尾川は、良くも悪くも直線的に攻めるしかないと思う。
あれこれ考えてファーマーを見ていると、ファーマーの多彩なコンビネーションでいいようにあしらわれるだろう。
両者の動画を見ると、尾川がファーマーにパンチを打ち込めるとはなかなか思えないのだが、KOするつもりで行けば可能性はある。
さあ、どうか?
ズバリ、テビン・ファーマーの大差の判定勝ちだろう。
尾川VSファーマーより、その前にニューヨークで行われるWBO世界スーパーフェザー級タイトルマッチ、ワシル・ロマチェンコ VS ギレルモ・リゴンドーの方に興味があるが、どっちが勝っても後がうるさいだろうね。
私としては、さすがにリゴンドーも体重の壁に泣くと思うが、普通の負け方はしないだろうという予感がする。
明日が楽しみだ。
<追伸2017.12.11 試合結果>
WOWOWオンデマンドの調子が悪く、今日まで試合を見れなかった。
結果はご存知のとおり尾川の2-1(116-112、115-113、112-116)の判定勝ち。
アメリカでのタイトル獲得は、これで5人目。
ただし、なかなか微妙な採点だったようだ。
私の採点は、114-114で引き分け。
尾川寄りの採点でこれだから、逆の結果もあり得た。
とは言え、敵地での判定で勝ったのだから、人気者のファーマーとしても裏切られた感がしただろう。
ロマチェンコVSリゴンドーは、動画でフルに見たが、7R終了リゴンドーの棄権によるロマチェンコの勝ち。
共にクリーンヒットはほとんどないというか、共に相手のパンチを喰わない試合だったが、ロマチェンコの方がスピードがだいぶ上回っていて、リゴンドーにはフラストレーションの溜まる試合運びだったのではないかな。
2Rに拳を痛めたためと言うが、これ以上続けても、疲れて、次第にロマチェンコのパンチをもらうようになり、身体の2階級大きいロマチェンコに仕留められるのも時間の問題だったろう。
ロマチェンコは、ほとんどリゴンドーの外側になる左へ左へと回っていたね。
リゴンドーのように半身に構えるサウスポーには、当てにくいポジションだった。